最強の《絶望神サガ》が消えるまでの物語③

絶望神サガ
デュエルマスターズ歴代最強カード、《絶望神サガ》

本コーナーは【サガループ】がいかにして研究され、いかにして消えていったのか、その歴史を当事者目線で紐解いていくものである。

今回が最終回となるのだが、その結末は皆さんも知っての通りだ。どのカードよりも殿堂入りが相応しい。

最後のウイニングランを経て、最強はいかにして散ったのか。そしてその時筆者は何を思ったのか。もう少しだけお付き合い願いたい。

目次

▪️最強=正解ではない 真の王者【水魔導具】の話
【水魔道具】
▪️サガの歴史はアビスと共にある
【水闇サガループ(ウォズレック型)】
▪️異質な強化は別れの合図 最後の1枚
【水闇サガループ(ウォズレック型)】
▪️最期の大型大会
【水闇サガループ(超CS Ⅴ in大阪)】
▪️最大の敵は自分自身、それでも
▪️おわりに


最強=正解ではない 真の王者【水魔導具】の話


DMPランキング2023前期、その7割近くの期間は無規制の《絶望神サガ》を使うことができた。

ならば《絶望神サガ》を一番多く上手く使いこなしたプレイヤーが1位に輝いたのかと言うと、そうはならかった。
当時ランキング1位に輝いた元TeamSAGAでもあるミノミーは、【晩餐型サガループ】の基本的なループ方法すら知らなかった。

それでも、この年は彼が一番強かった。いや、正しかった。

【水魔道具】

水魔導

デッキリスト
《卍新世壊卍》×4
《堕呪ゾメンザン》×4
《堕呪ゴンパドゥ》×4
《堕呪バレッドゥ》×4
《DG-パルテノン~龍の創り出される地~》×3
《堕呪ウキドゥ》×1
《凶鬼98号ガシャゴン/堕呪ブラッドゥ》×4
《堕呪カージグリ》×2
《堕呪エアヴォ》×4
《月下旋壊ド・リュミーズ》×1
《神の試練》×1
《ガル・ラガンザーク》×1
《「無月」の頂$スザーク$》×4
《月下卍壊ガ・リュミーズ卍》×3
彼が使っていた【水魔導具】は、【晩餐型サガループ】に対して明確な有利が付いていた。

②
《卍新世壊卍》+《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》というパッケージに加え、何より異質なのが3投された《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》
今となってはあまりにも尖った構築だが、当時はどのデッキも【サガループ】ありきで構築され、デッキのスロットの10〜20%はメタカードに割かれていた。

そういう意味でも、歴代に類を見ないレベルで環境を制圧していたと言える。

【水魔導具】は一切リソースを損なわずに動きの中でメタを繰り出せるのに対し、【サガループ】側は1:1交換による地道なフィールド処理を余儀なくされ、最終的に《卍新世壊卍》が起動したり、無月の門で《「無月」の頂 $スザーク$》が出たりすることで、リソース差が決定的となり消化試合へと進む。

その展開を打開する手段として、【サガループ】側に求められたのは少し特殊なリソースゲームだった。

氷牙レオポル・ディーネ公サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問龍素記号wDサイクルペディア
《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》上面による召喚、《龍素記号wDサイクルペディア》で呪文を連打する効果によるリソースゲーム、《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》上面により相手の《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》を奪って《「無月」の頂 $スザーク$》を牽制するなど...

常に【水魔導具】側の機嫌を伺いながら、まさに細い針に糸を通すような綱渡りのプレイ。ノーミスと謳えるプレイヤーの方が圧倒的に少なく、そこまでやっても尚微不利というマッチアップだった。

ガル・ラガンザーク
余談だが、最強のメタクリーチャーとも名高い殿堂カード、《ガル・ラガンザーク》
この進行における無月の門から出る《ガル・ラガンザーク》は、【サガループ】目線、「むしろお客様」という、象徴的なエピソードすらあった。

と言うのも、《ガル・ラガンザーク》が無月の門で出てきているということは、《卍新世壊卍》を経由せずに魔導具呪文を連打されたことと同義であり、水魔導具側のリソースが伸びていないということになる。

話を戻すと、故に【水魔導具】側の精度を極限まで高め、【サガループ】さえお客様としたミノミーは王者に輝いたのだ。

【サガループ】は最強だし、全国2位まで上り詰めるのには十分だった。

しかし1位になるには、それだけでは不十分だったのだ。


この反省は翌年のランキングへと活かされ、”強いデッキ””勝てるデッキ”を別軸で考えるようになった。
中長期的に勝ち続けるには、それを嗅ぎ分ける嗅覚と、受け入れられる非情さも重要なのだ。

サガの歴史はアビスと共にある

2023年6月24日、DM23-RP2 「アビス・レボリューション 第2弾 忍邪乱武」が発売された。

そこで収録された1枚のコモンカードが、【サガループ】に対してこれまでにない程の試練として立ちはだかった。

♪なぜ離れどこへ行くのか君は今
《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》

今でこそお馴染みとなった器用なドローソース。
しかし当時このカードが登場した意味合いは、【サガループ】にとってあまりにも強烈なものだった。

《凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ》のようにリソースの減らない墓地メタはこれまでも沢山あったのだが、リソースが増えるということは、相手の手数が増えることを意味する。
《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ》のように手札を減らすこともなく、むしろ《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》が2枚目の《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を連れてくるような形で、先手の押し付けも後手の捲りもより確かなものに。

これによりこれまで有利が付いていた地雷デッキに対して、最大で2割近く勝率を落とす結果となった。

代表的な例を挙げると【光水火ライオネル.Star】や【光水ライオネル.Star】、他にも【4c邪王門】等、水文明を基盤にとするありとあらゆるデッキに採用され始め、【サガループ】の形勢は一時非常に悪くなってしまう。

そんな中、《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》同様、またしても【サガループ】はアビスに救われる。

邪招待
《邪招待》

配られたのは何気ない闇文明のアンコモン。

【水闇サガループ(ウォズレック型)】

⑤

デッキリスト
《冥界の不死帝ブルース/「迷いはない。俺の成すことは決まった」》×4
《龍装者JETレミング/ローレンツ・タイフーン》×4
《絶望神サガ》×4
《蒼狼の大王イザナギテラス》×4
《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》×4
《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》×4
《龍素記号wDサイクルペディア》×4
《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》×3
《蝕王の晩餐》×2
《ストリーミング・シェイパー》×1
《邪招待》×1
《勝熱と弾丸と自由の決断》×1
《邪神M・ロマノフ》×1
《蒼神龍ヴェール・バビロニア》×1
《絶望と反魂と滅殺の決断》×1
《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》×1
《強瀾怒闘キューブリック》×1
蒼狼の大王イザナギテラス
しかしながら3コスト、つまり《蒼狼の大王イザナギテラス》から唱えられる闇文明のエレメント指定除去は初であり、このカードの登場で前述した【水魔導具】に対する形勢は一気に好転。

特に《卍新世壊卍》に対して使うと《勝熱と弾丸と自由の決断》とは異なり下のカードごと山札下に送られるということで、《「無月」の頂 $スザーク$》の着地まで牽制する格好となり、明確な不利が少なくとも五分へと改善されたのだ。

他にもこれまで最低4コストは必要だった《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》の処理も手軽になり、軽量エレメントで抗ってきたデッキに対しての勝率が跳ね上がったのだ。

異質な強化は別れの合図 最後の1枚

2023年7月22日、DM23-EX1 「デュエル・マスターズTCG 大感謝祭 ビクトリーBEST」発売。

飛翔龍5000VT
《飛翔龍5000VT》

知る人ぞ知る最強メタクリーチャー、いや、メタメタクリーチャーとも言えるだろうか。

デュエルマスターズの歴史を変えたと言っても過言ではない、今やCS優勝プロモとして象徴ともなったこのカードの初登場は、【サガループ】全盛期にあった。

もちろん、【サガループ】に対する強力なメタカードでもある。

このカードを出されては、《絶望神サガ》《蒼狼の大王イザナギテラス》も出すことができない。
しかし皮肉なことに【サガループ】もまた、《飛翔龍5000VT》を非常に上手く使えるデッキだったのだ。

使い終わった《冥界の不死帝ブルース/「迷いはない。俺の成すことは決まった」》《蒼狼の大王イザナギテラス》は軽減に使え、相手のメタクリーチャーを一掃しつつ、メタクリーチャーを出せないターンを確約。

特に《飛翔龍5000VT》を出された返しの《飛翔龍5000VT》が強力で、【サガループ】側が豊富なドローソースや《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》でゲームをコントロールし、相手に《飛翔龍5000VT》を吐き出させる形でゲームを制圧してみせた。

【水闇サガループ(ウォズレック型)】

④

デッキリスト
《冥界の不死帝ブルース/「迷いはない。俺の成すことは決まった」》×4
《龍装者JETレミング/ローレンツ・タイフーン》×4
《絶望神サガ》×4
《蒼狼の大王イザナギテラス》×4
《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》×4
《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》×3
《龍素記号wDサイクルペディア》×3
《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》×3
《邪招待》×2
《蝕王の晩餐》×2
《飛翔龍5000VT》×2
《ストリーミング・シェイパー》×1
《邪神M・ロマノフ》×1
《蒼神龍ヴェール・バビロニア》×1
《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》×1
《強瀾怒闘キューブリック》×1
ドアノッカ=ノアドッカ邪招待飛翔龍5000VT
これによりメタデッキは《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》《邪招待》《飛翔龍5000VT》という3種のメタに抗いつつリソースも管理することを余儀なくされ、この瞬間、【サガループ】は本当に不利対面が消滅してしまった。

最強は、最強になったのだ。

最期の大型大会

『超CS Ⅴ in大阪』は殿堂発表を控える【サガループ】にとって、最後の大型大会だった。

これまでランキングでは2位をキープしてきたものの、思えば華々しいタイトルを取るには至っていなかった。

別れの意も込め、ありったけのノウハウを注ぎ込み、本気で臨んだ最後の舞台は、惜しくも、しかし誇らしくも、ベスト8に入賞することができた。

超CSV大阪:TOP8プレイヤー紹介(デュエル・マスターズ公式)

【水闇サガループ(超CS Ⅴ in大阪)】

⑥

デッキリスト
《絶望神サガ》×4
《蒼狼の大王イザナギテラス》×4
《疾封怒闘キューブリック》×1
《龍素記号wDサイクルペディア》×3
《邪神M・ロマノフ》×1
《蒼神龍ヴェール・バビロニア》×1
《飛翔龍5000VT》×3
《龍装者JETレミング/ローレンツ・タイフーン》×4
《冥界の不死帝ブルース/「迷いはない。俺の成すことは決まった」》×4
《氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーン》×4
《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》×4
《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》×1
《邪招待》×3
《蝕王の晩餐》×2
《ストリーミング・シェイパー》×1
ドアノッカ=ノアドッカ
《ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」》というこれまでのエースはあえて不採用とし、《邪招待》《飛翔龍5000VT》をそれぞれ3枚採用。

やや大味になりつつも、刻一刻を争うリソースゲームで躓かないよう、より高確率でプレイするべく再現性を上げるチューニングを施した。

これが功を奏したのか当日は快勝。

敵はいよいよ同型戦のみとなり、メタに回るプレイヤーが多かったことから、そのリスクも最小限で済んだ。

最後は惜しくも【光水ライオネル.Star】に数手足りず敗れてしまったが、デッキがそこまで連れて来てくれたのも、もしかすると花を持たせようとしてくれたのかもしれない。
この先たった一つのデッキを使ってランキングを走り切るようなことがあるかと言われると、まあないだろう。今思うとある種の意地のようなものもあって、狂気的にこれだけに向き合っていた。

でも後悔はない。非常に楽しかった。

筆者にとって【サガループ】はいつまで経っても、きっと死ぬまで、最高にカッコ良い闇のキリフダとして心に刻まれている。

最大の敵は自分自身、それでも

⑦
2023年8月11日、《絶望神サガ》の殿堂が施行されることが決定した。

驚くことなどないのだが、それでも、分かっていても、今までにない寂しさを覚えた。
よく「親の顔より~」なんて言うが、本当にこの時期は親の顔より《絶望神サガ》を見ていたのだから(笑)

8月10日木曜日 DM飛梅CS in TSUTAYA西友町田店

これが【サガループ】を使える最後のCSだった。
結果は1-3。全てミラーに敗北し、0ptsだった。


ここまで来ると環境は超膠着状態。

【サガループ】同士の不毛な潰し合いだ。
【サガループ】の同型戦はどこまでいっても五分。プレイングの要素がほぼ介入しない。

負けるべくして負け、でもどこか清々しく、「まぁ、そりゃそうだよな」なんて思いながら、少しくたびれたスリーブをデッキから外し、と同時に、このランキングに対するどこか燃え尽きるような気持ちも覚え、一足先に帰路へと就いた。

おわりに


本記事をもってこのシリーズは終了となるが、こうして資料に残せたことを大変嬉しく思う。

所々溢れ出る私情は挟みつつも、いくつかの転換期については確かなものなので、何かの機会で歴史を振り返る際に参考にしていただければ幸いだ。

絶望神サガ
【サガループ】は、やはりデュエルマスターズ歴代最強のデッキだ。

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