先週の禁止改定では、モダンで《
激情》《
豆の木をのぼれ》が禁止、パイオニアで《
地質鑑定士》《
大いなる創造者、カーン》禁止と、それまでの環境が一変する大きな変更でした。
それに加えてパイオニアでは《
密輸人の回転翼機》が解禁。無色2マナと軽いため使いやすく、どれだけ採用されるか注目が集まっていました。
今回の記事では先週の大会結果から、禁止改定後のモダンとパイオニアの変化を追っていきます!
目次
▪️参考情報
▪️モダン:ラクドス想起(Grand Open Qualifier優勝)
▪️モダン:カスケードクラッシュ(Grand Open Qualifierトップ4)
▪️パイオニア:アマリアコンボ(パイオニアショーケース予選優勝)
▪️パイオニア:ラクドスミッドレンジ(パイオニアショーケース予選トップ4)
▪️おわりに
参考情報
Grand Open Qualifier Barcelona 2023
パイオニアショーケース予選
バルセロナで参加者702名で開催されたモダンの大会Grand Open Qualifierと、
マジックオンラインのパイオニアショーケース予選の結果を
参考にしています。
モダン:ラクドス想起(Grand Open Qualifier優勝)
《
激情》禁止で
大きく弱体化したはずのラクドス想起でしたが、
禁止をものともせず優勝!!!カード名の通り、ラクドス想起は《
まだ死んでいない》!
1ターン目に《
悲嘆》を想起からの《
まだ死んでいない》で、
相手の手札の強いカードを2枚捨てながら4/3威迫が爆誕!この動きは禁止後も健在。《
激情》でクリーチャーを一気に除去することは出来なくなり、《
まだ死んでいない》の受け先も減りましたが、
依然として1ターン目《
悲嘆》復活は強く、
序盤に相手に何もさせずに勝つこともあるほど、
押し付けの強いデッキです。
以前は《
まだ死んでいない》系の復活呪文6枚が主流でしたが、《
激情》禁止によって1ターン目の打ち先が《
悲嘆》しかなくなったため、この枠が土地としても置ける《
マラキールの再誕》に置き換わっています。《
悲嘆》
を引かなかった場合でも、《
ダウスィーの虚空歩き》に《
まだ死んでいない》《
マラキールの再誕》
を使って手札破壊した相手の呪文を使って再び場に戻したり、
除去から守ったりする用途があります。
3マナのカードの採用枚数が増えているので、
21枚目の土地として《
マラキールの再誕》
を入れるのが良さそう。
《
ダウスィーの虚空歩き》は相手の死亡誘発型能力を防ぎ、
最近増えてきた《
死せる生》
デッキに対して特に強いクリーチャーです。
召喚酔いが解ければ、相手の《
死せる生》に対応して自分から生贄に捧げることで、《
死せる生》
で墓地から戻って来て、今唱えられた《
死せる生》を追放。そして追放した相手の《
死せる生》をこちらが唱えられるので、盤面を返すことができます。
相手の墓地にサイクリング持ちクリーチャーが複数いる状況なら、
攻撃せずに生贄に捧げられるようにしておくプレイングもあります
。
新加入の《
溶鉄の崩壊》は、ソーサリーである点こそ《
終止》
に劣りますが、
その分マナ総量1の非クリーチャーパーマネントを破壊する出来
るようになっており、《
精力の護符》や《
硬化した鱗》《
霊気の薬瓶》といった、放置できないエンチャント・
アーティファクトに対処できます。メイン採用の《
コラガンの命令》もそうですが、
特にアーティファクトを破壊することを意識したリストですね。
ラクドス想起は《
激情》
の禁止によってクリーチャーデッキへの耐性が下がったので、
それを補うべく《
アガサの魂の大釜》
を使うヨーグモスや鱗親和といったデッキを意識した除去の選択だ
と予想しています。
サイドボードの《
呪われたトーテム像》からも、
ヨーグモスや鱗親和を意識しているのが見て取れます。
モダン:カスケードクラッシュ(Grand Open Qualifierトップ4)
デッキに採用するマナ総量2以下のカードを《
衝撃の足音》
のみに固定。これにより、《
断片無き工作員》《
暴力的な突発》
の続唱で、確定で《
衝撃の足音》が公開されます。
《
断片無き工作員》ならサイ・
トークンと合わせて3マナで合計10/
10ぶんのクリーチャーになりますし、《
暴力的な突発》
はインスタントタイミングで相手のターンに仕掛けられます。
3マナでサイ・トークンを2体出して、あとは《
否定の力》《
緻密》で相手を妨害しながら殴り切る。
シンプルですが強力な戦略で、
モダンでも人気のあるデッキタイプです。
分割カードはマナ総量が合計の値なので、
続唱を阻害することなく序盤の動きを補ってくれます。《
死亡+
退場》は1マナ除去、《
火+氷》はどちらも汎用性が高く、
青いので《
否定の力》《
緻密》の代用コストになるのも強い!
Grand Openではトップ16入賞者にカスケードクラッシュが多かった
のですが、どのリストも《
神秘の論争》メイン2枚採用が多く、
続唱デッキは《
時を解す者、テフェリー》
を絶対に打ち消さなければいけないので、納得の構築です。
このデッキではリスト公開制の試合を意識してか、メインから《
神秘の論争》や《
兄弟仲の終焉》といった、
特定の相手に効くカードを散らしています。
そして新セットからは《
ティシャーナの潮縛り》が採用。
相手のフェッチランドの起動を打ち消したり、
ミラーマッチで続唱の誘発型能力を打ち消したり、《
原始のタイタン》の誘発型能力を消して能力なしにしたりと、
用途は様々。
《
ティシャーナの潮縛り》型が主流になって来たので、
相手がカスケードクラッシュの場合は、
フェッチランドの起動を打ち消されないように動くプレイングも重
要になっていきそうです。
《
ティシャーナの潮縛り》がウィザードなおかげで、《
アノールの焔》のモードを2つ選んで唱える機会も増えました(以前は《
変わり谷》のみでした)。
3つのモードすべてが便利な呪文です。
Grand Openのトップ16入賞デッキを見ると、《
死せる生》が4名《
衝撃の足音》が4名と、続唱系の活躍が目立っています。
禁止改定で周りのデッキが弱体化して、その上で《
ティシャーナの潮縛り》で強化されたことが理由でしょうか。
しばらくはサイドボードの《
虚空の杯》が欠かせなそうです。
ちなみに《
虚空の杯》の打ち消す能力は《
ティシャーナの潮縛り》で消せます。
《ティシャーナの潮縛り》、スゴい。パイオニア:アマリアコンボ(パイオニアショーケース予選優勝)
ショーケース予選を優勝したのはアマリアコンボ!クリーチャーを展開し、攻撃しながら無限コンボを狙って行くデッキです。
1.戦場に《月皇の古参兵》や《裕福な亭主》といった、戦場に出た時にライフを回復するクリーチャーを用意。(回復をすればいいだけなので、マナさえあれば食物でもOK)
2.次に《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《野茂み歩き》を揃えて、《月皇の古参兵》《裕福な亭主》によるライフ回復が誘発。
3.ライフ回復により《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》の探検が誘発、探検を行うことで《野茂み歩き》の3点回復が誘発、これにより3.がループして、《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》のパワーが20になって他のクリーチャーを全て破壊。
4.パワー20を超えた《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》で攻撃して勝利。アマリアが召喚酔いだった場合は、探検を繰り返して行く過程で墓地を増やしていき、探検で《戦列への復帰》をデッキトップに積む。アマリアの効果はパワーがちょうど20であるなら他の全てのクリーチャーを破壊します。
例えばパワーが18のときに《
巨大化》を撃たれてしまうと、パワー21になってしまい破壊が起きず、アマリアと《
野茂み歩き》で終わらない無限ループになることに注意して下さい。後述する《
魂浸し、ダイナ》など、生贄にするカードが必要になってきます。
コンボで探検と回復を繰り返すので、一緒に《
魂浸し、ダイナ》がいれば、アマリアで攻撃せずに勝利することが出来ます。
パワー20で他のクリーチャーを全て破壊しつつ探検で墓地を肥やして、次のターンに探検でデッキトップに置いた《
戦列への復帰》で《
魂浸し、ダイナ》を一緒に戻して勝利するパターンが多いです。
《
戦列への復帰》や《
救出専門家》など墓地から戻すカードが多く、《
無私の救助犬》や《
不屈の将軍、ジリーナ》といった味方を破壊不能にするクリーチャーもいるので、単体除去の1回や2回なら乗り越えてコンボで勝つ力があります。
余談ですが《
戦列への復帰》は基本セット2015にしか収録されておらず、枚数を3-4枚使うので値段も上がってきています。
相手が墓地対策が入っていたり追放除去が多い場合は、《
戦列への復帰》で墓地から戻せない場合もあるので、補助の勝ちパターンとしてサイドボードに《
霊気貯蔵器》が採用されています。一旦アマリアコンボが決まればライフは80を超えるので、《
霊気貯蔵器》の50点砲台も撃てます!
サイドボードの《
暮影の騎士》は、アマリアコンボのミラーマッチ意識で、相手にライフ回復をさせません。《
鎮まらぬ大地、ヤシャーン》はラクドス・サクリファイス対策。
新セットは発見コンボに注目が集まっていましたが、アマリアコンボも十分強いデッキなので、これから細かい枚数など調整が進んでいきそうです。
パイオニア:ラクドスミッドレンジ(パイオニアショーケース予選トップ4)
《
密輸人の回転翼機》4枚採用のラクドスミッドレンジが早速入賞!搭乗1なので、《
鏡割りの寓話》から搭乗出来るのは《
勢団の銀行破り》にはない強みです。
この《
密輸人の回転翼機》と相性が良いのが《
太陽の執事長、インティ》で、手札を捨てた時にトップを追放してプレイ出来て、デッキをどんどん回転していきます。
もともとラクドスは《
税血の収穫者》の血・トークンや《
鏡割りの寓話》2章の効果で手札を捨てるので、その場合にも《
太陽の執事長、インティ》が誘発してアドバンテージにつながり、シナジーが《
密輸人の回転翼機》だけでないのが良い!引いて捨てるカードが多く墓地を貯めやすいので、相性の良い《
死の飢えのタイタン、クロクサ》が2枚なのにも納得です。
ラクドスミッドレンジは4マナ域に《
黙示録、シェオルドレッド》《
ドロスの魔神》が主流でしたが、このデッキではそれらを廃してシングルシンボルを優先し、《
湧き出る源、ジェガンサ》を相棒にする新しいアプローチを取っています。デッキ全体が「引いて捨てる」カードが多く、より軽さを意識した構成になっています。
それでもダブルシンボルの《
危難の道》はサイドに採用。前述のアマリアコンボは《
アマリア・べナヴィデス・アギーレ》《
野茂み歩き》が探検でサイズアップするデッキなので、《
兄弟仲の終焉》や《
衰滅》では倒しきれないことも多いです。アマリアコンボが流行するなら、今後の黒の全体除去は《
危難の道》になっていきそう。
おわりに
モダンは《
ティシャーナの潮縛り》
入りのカスケードクラッシュが本当に強い!
続唱系のデッキの活躍を見るならサイドボードに《
虚空の杯》
をお忘れなく!
パイオニアはアマリアコンボが勝っており、《
戦列への復帰》《
救出専門家》を無力化する墓地対策が必要。《
密輸人の回転翼機》と《
太陽の執事長、
インティ》の相性が最高!
以上、禁止改定後の大会結果まとめでした。
それではまた。