皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
6月の『ファイナルファンタジー』発売までプロプレイヤー的には一休み。
ということで日本レガシー選手権・春とジャパンスタンダードカップに出場した後(どちらもボコボコでした)、5月の中旬は晴れる屋さんで開催される神挑戦者決定戦に向けてパウパーとレガシーを主にプレイしていました。
そこで今回の記事では、僕がハマった&実際に使った、
パウパーの「The Spy」を簡単に紹介したいと思います。目次
▪️★パウパーにおける「The Spy」とは?
▪️デッキリスト
▪️★ちょっとだけカード解説 その1
▪️★パウパー神挑戦者決定戦で使ったリストについて
▪️神決定戦使用デッキリスト
▪️★ちょっとだけカード解説 その2
▪️■終わりに
★パウパーにおける「The Spy」とは?
「The Spy」とは、その名の通り
《欄干のスパイ》を用いたコンボデッキの通称です。
パイオニアでは禁止になってしまったものの、
モダン・レガシー・ヴィンテージで《地底街の密告人》と一緒に高速コンボの一角としてプレイされています。最速で4マナを供給して、
《欄干のスパイ》or
《地底街の密告人》で自分を対象に取り、ライブラリーを0枚にする→その過程で
《ナルコメーバ》などのクリーチャーが落ちる→
《戦慄の復活》で
《タッサの神託者》でWin!!というのがお決まりのパターン。(
※モダンでは《戦慄の復活》が禁止なのでフィニッシュ手段は異なりますが、やること自体は変わりません)
モダン・レガシー・ヴィンテージではモードを持つ両面カード(MDFC)や各種モックスを使用することにより「土地カード」0枚で構築することができますが、
パウパーにはもちろんそんな便利なモノはありません。ではどうするのか?答えはシンプル。
「土地カードを最小限の枚数で構築して、全部サーチしてから《欄干のスパイ》を出す」のです!
ということで、まずはデッキリストをご覧いただきましょう。
デッキリスト
たった6枚の土地。この土地と
《土地譲渡》4枚の計10枚がキープ基準となり、そこから土地サイクリングなどを駆使してデッキから土地を抜いて行くことになります。
デッキの構造自体は極めて単純ですが、
勝ち手段がいくつかあるのがデッキの強みです。ライブラリーに土地がない状態(6枚全てが戦場/手札/墓地にある)にした後に、
《欄干のスパイ》を出して自分自身を対象に取ります。それによりライブラリーが全て墓地に行くので
《戦慄の復活》で《ロッテスの巨人》を釣って30点オーバーのダメージを与えて勝利!というのが最も簡単かつ強力な勝ち手段です。
もちろん
《戦慄の復活》のフラッシュバックには3体のクリーチャーが必要となるので、
《欄干のスパイ》だけでは足りません。前のターンまでに適当なクリーチャーを出しておくのが理想ですね。
《のたうつ蛹》経由だとベストです。コンボの際に1マナ余裕があれば
《屑肉の地のゾンビ》の「蘇生」により1体分水増しできます。
1ターン目に
《カザド=ドゥームのトロール》《気前のよいエント》を土地サイクリング→2ターン目に
《死体発掘》でドン!
2ターン目に6/5や5/7のサイズのクリーチャーが出れば、パウパー的には(普通のマジックでも)超強いです。シンプルかつ強力なプランで、初手で揃っているときは真っ先に行うプレイとなります。後攻1ターン目に
《大祖始の遺産》を出されていても、こちらが
《土地譲渡》をプレイしていれば回避しつつ
《死体発掘》することが可能。
ただし相手も当然抵抗してくるので、コレだけで勝つことは少ないです。ライフでプレッシャーをかけつつ隙を見てコンボを決めるか、後述する③のプランに切り替えていくことがほとんどです。
③クリーチャー連打によるミッドレンジ
スタッツの良いクリーチャーを連打して、殴っていくプラン。
青単テラーのようなカウンターの多いデッキや、グリクシス親和/ジャンドワイルドファイアのような相手とのサイドボード後に頻発します。『モダンホライゾン3』最強コモンと名高い
《のたうつ蛹》を筆頭に、どれも適当に出してもそこそこ戦闘能力が高いため、コンボを介さずに勝利することが多々あります。
《クラーク族のシャーマン》+
《毒素の分析》による全体除去コンボを擁する相手に対しては、
《サグの原生龍》だけでなく
《欄干のスパイ》も適当に出してドンドン殴っていくことも視野に入れましょう。
余談ですが、ロングゲームの末、相手の墓地対策やライフゲインを無視して
《欄干のスパイ》を連打して対戦相手をライブラリーアウトに追い込んで勝利したこともあります。ゲームプランは柔軟に。
★ちょっとだけカード解説 その1
妨害と《戦慄の復活》の頭数を兼ねる枠。メインから
《虚無の呪文爆弾》が入っているデッキには大事にするのが吉ですが、相手のアーティファクト土地を追放できるとき(特に先攻2ターン目)は適当に出しても良いです。
最速で
《大祖始の遺産》を出されると機能されなくなるので、サイド後は
《ブリキ通りの悪党》の方が輝くことも。
エルフデッキでも使われている、
圧倒的アドバンテージカードです。さすが元アンコモン。
The Spyは土地6枚+
《土地譲渡》4枚の10枚がないと自動的にマリガン=普通のデッキよりマリガン率が高いですが、このカードのアドバンテージにより復旧することができます。早いデッキ相手には数枚サイドアウトしても良いですが、減らしすぎると手札が足りない/
《欄干のスパイ》を探せなくなるので難しいところ。
これも元アンコモン。基本的には30点前後の打点しか出ないので、
《アルマジロの外套》などで
ライフゲインされ過ぎるとコンボしても勝てなくなるので注意。現実的なラインでいうと、
《欄干のスパイ》したターンに
《死体発掘》と
《戦慄の復活》を両方プレイできれば60点程度は出せますがそれ以上になると厳しいです。
★パウパー神挑戦者決定戦で使ったリストについて
上で紹介したリストで前週のパウパー神挑戦者決定戦トライアルに参加し、準優勝!
デッキパワーの高さは実感できましたが、
同時にサイドボードの大半と、メインの一部が弱いと感じました。トライアルの日に同じくThe Spyを使用していたシゲキ(高野成樹)、そしていつものMSD内で意見をもらい、最終的には以下のように調整して参加しました。
神決定戦使用デッキリスト
★ちょっとだけカード解説 その2
《欄干のスパイ》コンボを決めようとしたときに、
素引きしていると困る(コンボターンがラグる)ので2枚目を追加で採用。2枚であれば1枚素引きしてもコンボに支障ないですし、素引きした1枚も
《気前のよいエント》《カザド=ドゥームのトロール》を4マナで釣るアクションがそこそこ強いので問題なし。
《林間の見張り》は
《機械仕掛けの打楽器奏者》や
《ゴブリンの奇襲隊》が入っているタイプには1マナ1/2というスタッツもあり効果的ですが、
《ケッシグの炎吹き》《どぶ潜み》といったタイプには効果が薄いです。
そこで
《予想外の牙》を試していたところ、
提案されたのが《吸血の絆》。+1/+1修正こそ無いものの、1マナ軽い点、そしてパーマネントであるため
《邪悪鳴らし》で拾えるのが
《予想外の牙》より良い!
さらには
《ケッシグの炎吹き》《どぶ潜み》といった
相手のクリーチャーに付ければ実質除去になる=重ね引いても大丈夫!デッキに最適な1枚を教えてくれたせばちゃん(市川ユウキ)に感謝。
The Spyが苦手なのは自分より早いデッキ、
その筆頭がエルフ。ほぼ専用サイドです。
他の除去カードと違い、これも
《邪悪鳴らし》で拾えるのが良いですね。パウパー的には常識だったかもしれませんが、
『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』収録のカードということで僕は存在すら知りませんでした。教えてくれたシゲキに感謝。
《憑依されたぬかるみ》は
《森》であり
《沼》であるため、
「《山》+《カザド=ドゥームのトロール》」のような初手でもキープできるようになり、デッキの安定感が上がります。
ですが試してみたところ、初手の安定感が上がった反面、
「タップインが致命的になりがち」「アンタップインを優先してサーチして最後に残すと、受けが狭くなる」など問題が発覚。
トータルでマイナスだと感じて不採用にしました。もう一方の
《樹木茂る尾根》は、
デッキの構造的な欠陥:「《山》をサーチできるカードが少ない」をカバーするためにサイドに採用しました。早いターンに赤マナが必要になるとき=
《ファング・ドラゴン》と一緒にエルフ相手に
《森》と入れ替えでサイドインするのが主目的です。それ以外だと、
《浄化の野火》で土地を狙ってくる&タップインが気にならないジャンド相手でも活躍。
■終わりに
特に勝った訳ではないので(
パウパー神は4-2ドロップでした)レポート部分を省いて、デッキ紹介&細部の解説だけに留めました。The Spyの魅力が少しでも伝われば幸いです。
MOの予選のために少しプレイしたことはあったものの、しっかりと練習してパウパーに向き合ったのは今回が初めてでした。アグロ・コントロール・コンボ・ミッドレンジ・クロックパーミッションなど多種多様なデッキがあり、工夫の余地もあり、
想像以上にバランスの良い環境だなと実感しました。パウパー、ええやん!かなり楽しかったので、予定が合えば今後も挑戦していきたいなと思います。
色々なフォーマットを遊べるのもマジックの魅力の一つですよね。それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!