皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
1月末に開催された、
プロツアー『ローウィンの昏明』に参加してきました!
先に結果だけ書いてしまうと、3-5で初日落ち。9-7以上でダブルチェインを目指していたのですが、一転すべてを失う形となってしまいました。悔しいですが、これもまたマジック。
ということで今回の記事では、PTの調整過程と簡易レポートをお届けしたいと思います。
目次
▪️★調整メンバーについて
▪️★スタンダードの調整過程とチーム内の選択
▪️★使用したリストの解説
▪️★ドラフトについて
▪️★本戦の結果
▪️終わりに
★調整メンバーについて
前回=世界選手権からの継続組(自分含め9名)に加えて、PTQを勝ち上がった松浦、海外チーム・コスモスから再合流した市川、アメリカのスポットライトシリーズでトップ8入賞した小澤、そして地域CSで上位入賞した木原・横川が参加。
普段よりも少し多めの、
総勢14名での調整となりました。
★スタンダードの調整過程とチーム内の選択
今回のプロツアーは『ローウィンの昏明』発売直後。《並外れた語り部》《欺瞞》を始めとしたパワーカードあり、《呪文嵌め》《報いの呪詛》のような軽い妨害カードありで、スタンダードに大きな影響をもたらすことは明白でした。さらに今回はプロツアー開催の前週にアメリカで地域CSが開催されたことにより、そちらの影響も大きく受けることとなりました。
シミック律動
世界選手権の頃の
《天才遺伝学者、ジャッカル》型は一瞬で廃れ、
《自然の律動》により
《アナグマモグラの仔》を連打し
《孔蹄のビヒモス》まで繋ぐ、クリーチャーコンボデッキへと変貌を遂げたこのデッキ。
《並外れた語り部》により安定感が上がり、いよいよ大本命です。地域CSでは
《ウロボロイド》を廃して
《輝晶の機械巨人》に寄せた形が優勝しましたが、チーム内では従来のシミック型の方が高評価でした。
トップメタで意識されているのは間違いないものの、明確な不利マッチが少なく、デッキパワーが高いことから一番人気。中村・原根・井上・小澤・小笠原、そして井川の6名が選択。
バント気の技コンボ
『アバター』生まれのクリーチャー・コンボ・デッキ。元々はクリーチャーデッキに強い反面、リソースを取るのが難しいため除去が多いコントロールを苦にしていましたが、
《次元転移用ウェブウォッチ》が発見されたことによりデッキが一気に強化されました。
そしてこのデッキにも《並外れた語り部》。地域CSでは優勝こそ逃しましたが高勝率を記録。ただ
目立ち過ぎた=PT本戦で意識されるのを嫌ったのか、デッキの強さ自体は評価されつつもチーム内ではあまり人気がなかったアーキタイプでもあります。
《倦怠の宝珠》の枚数は勝率に直結しますからね。
前環境からこのデッキに精通しており、今回も高勝率を出していた行弘のみが選択。
イゼット講義
世界選手権で12フィニッシュを果たしたアーキタイプ。『ローウィンの昏明』からも
《呪文嵌め》と
《蒸気孔》を得て堅実に強化されています。
《嵐追いの才能》《ブーメランの基礎》パッケージの有無により大きく分けて2パターン存在しており、メタゲームによってどちらが良いかは変動するのが難しいところ。苦手なスゥルタイリアニメイトが増加&
《幽愁》を得たことにより更に厳しくなったせいか、直前の地域CSでの勝率は微妙。
逆にそこを好機と捉えた市川のみが選択。ディミーアミッドレンジ
禁止カードとは無縁で残り続けている、現代スタンダードで数少ないクロック・パーミッション系統のデッキ。
《報いの呪詛》《呪文嵌め》を手に入れて、よりテンポ良く動けるようになりました。
上位アーキタイプである
《アナグマモグラの仔》デッキ=シミック律動とバント気の技にはお世辞にも相性が良いとは言えませんが、
「シミックをメタったデッキ」には相性が良いのが魅力の一つです。
大崩れしにくいデッキということで、使い慣れている木原・増門・堀内の3名が選択。
スゥルタイリアニメイト
《幽愁》《欺瞞》《並外れた語り部》《報いの呪詛》と大幅強化を受けたスゥルタイリアニメイト。ですが
チーム内の評価は低めでした。
「想起」を多めに採用するとマナベースが破綻しやすく、
《魂の洞窟》を多めに採用して補強しようとすると強みである
《誉れある死者の目覚め》が使えずと、あちらが立てばこちらが立たず。
《並外れた語り部》が加入してリアニメイトプランの安定感は上がったが、仮想敵であるシミック律動やバント気の技に対しての相性が抜本的に改善されておらず、
また1人、また1人と諦めていき最終的には0名。セレズニア上陸
世界選手権後に出てきて、一気に上位メタに定着していたこのデッキ。イゼット講義に強く、タッチの白によりシミックウロボロイドにも対抗できているということで、元々チーム内で評価が高いデッキでした。
ですが地域CSの結果を受けて急降下。相性の悪いバント気の技やスゥルタイリアニメイト、コーナ全知などが台頭し、ポジションが悪化。「明日PTなら上陸を使う」と言っていた多くのメンバーが意気消沈し、去っていきました。
そんな逆境の中ただ一人諦めずに調整し、最終的には
「メイン《門衛のスラル》」という尖った構築に帰着した横川のみが選択。
ボロスドラゴン
《空飛ぶ友だち、モモ》《龍へと昇る者、サルカン》などのマナ加速を生かしてドラゴンを連打していくミッドレンジ。メイン
《鳴り渡る龍哮の征服者》から分かる通り、
《アナグマモグラの仔》デッキをターゲットにしています。
他のデッキが馴染まず、愛するボロスというカラーリングも相まって好感触だった松浦のみが選択。
イゼットバーン
森山総帥の意欲作。正直見てても対戦してもイマイチ利点が分からなかったので、僕は基本ノータッチでした。
このデッキのチューニングに情熱を注いだ森山のみが使用。
★使用したリストの解説
ということで、今回のデッキリストはこちら。
デッキリスト:シミック律動
基本的には至って普通のシミック律動。今回の自身の目標が9-7ということもあり、回していて最もデッキパワーが高いと感じたデッキを、半ば消去法的に選択しました。
一般的なリストと異なっているのは主に以下の2点です。
まずはメイン《ルクサの体現、サブ=スネン》。この枠は一般的には
《マラング川の執政》が入っていることが多いのですが、
《マラング川の執政》の手応えが良くなかったこともあり、コントロール系やイゼット系を意識してこのカードを採用しています。
現在のジェスカイコントロール、青白コントロールに追放除去がほぼ採用されていないこともあり、定着すれば不利マッチを覆せる力があるという点が評価され、チーム内のリストで定着。
《自然の律動》とも相性が良く、出した次のターンではその高いパワーを「調和」に活かして一気に
《孔蹄のビヒモス》を戦場に送り出すことが可能です。
サイドボードには3色目のカードではありますが《門衛のスラル》。これは基本的に少し不利マッチであったバント気の技を意識しての採用でした。このカードがあるので、サイドに
《始まりの町》も少量採用しました。
一度戦場に出せば相手のデッキの大部分を機能不全にできるものの、相手の
《素早き救済者、アン》や
《岐路に立つアン》が変身して盤面負けるケースもあります。速やかに
《ウロボロイド》を出して相手よりも強い盤面を作りましょう。
その他、細かい部分は最終日にあれでもない、これでもないと右往左往しながら最終決定。
特に
《ローウィンの主、オーコ》と
《神出鬼没の狩人、スーラク》の是非などはかなりギリギリまで悩んだ部分でした。
その諸々の過程で、メインに1枚入れていた《爆発的神童》を最終的に抜いてしまったのが個人的な後悔ポイント。入っていれば勝てたかは怪しいですが、
相手視点で見ると入っていない=《アナグマモグラの仔》を対処できないなので、かなり楽にプレイさせていたなと思います。心が弱い。
★ドラフトについて
「青白マーフォーク」「黒緑エルフ」「青赤エレメンタル」「白緑キスキン」「黒赤ゴブリン」という主要アーキタイプがありつつも、他にも「赤白巨人」「青黒フェアリー」「緑多色の色彩」「白黒赤系の-1/-1カウンターデッキ」などのいわゆる裏アーキタイプもある、かなりやり甲斐の環境でした。
ドラフト練習会でも、また17landsのデータを見ても「青白マーフォーク」「黒緑エルフ」の2つが頭一つ抜けて成績が良かったですが、
個人的に手応えが良かったのは赤。除去3種が優秀なのは当然ですが、
重要なのはクリーチャー陣です。
マーフォークとエルフが人気が高い反動か、これらのクリーチャーが比較的安く取れるのがとにかく嬉しい!今回のドラフトはそこまで高速環境ではない分、
いかに長期戦を戦うかが重要。の割にはマナフラッド受けのカードが少し少なめなので、これらのカードが非常に重宝するのです。
(『アバター』はマナフラッド受けのカードが多かった)特に
《肉筋の大食漢》は過小評価されていた1枚だと感じていて、使うたびに余った土地をルーティングする=相手より有効牌を引ける素晴らしさに感謝したものです。他のコモンやアンコモンと-1/-1カウンターでシナジーした日にはもう最高。
とはいえ、無理に赤をやっては意味がないので、基本的には「流れてくるものをやる」ベース。ただし初手付近が非常に強力なレアかつ強アーキタイプのカードのときは、決め打ち気味にピックする、という感じでやってました。
要するにいつも通りですね。
◎積極的にやりたい
黒緑エルフ、青赤エレメンタル
◯空いているならやりたい
青白マーフォーク、白緑キスキン、赤黒ゴブリン、赤白巨人、赤白黒系の-1/-1
×できればやりたくない、やらない
緑多色色彩、青黒フェアリー
PT前日のミーティングで各アーキタイプごとのコモン・アンコモンの優先順位や構造などをしっかり復習できたこともあり、概ね上記のような感覚で本番に臨みました。
★本戦の結果
◎Day1
1stドラフト
初手は
《鋸折りの戦闘員》から。後半に引くと弱いものの、軽くて強いレアということで嬉しいですね。
「エルフかキスキンかなー」と思っていたところに、
流れてきたのはなんと《小村の心、ブリジッド》!!さらに3手目に弱めなパックから
《キンズベイルの野心家》をピックし、キスキン一直線!上の言うことには素直に従いましょう!
2パック目の初手は環境屈指の除去である
《割に合わない一撃》から。「枯朽2」は結構厳しいものの、ボムレア/アンコモンを一気に2枚破壊できるこのカードは唯一無二。
その後も
《境界の支配》や
《ダンドゥーリンの織り手》といった優秀なカードを確保しつつ、マナカーブをコモンクリーチャーで埋めていきます。
3-1は
《注意深い一年生、キーロル》。誘発型能力をコピーできるので各種クリーチャーと相性良いですし、
《境界の支配》で2枚追放できたりするので、噛み合いこそ要求するもののかなり優秀なクリーチャーです。これは嬉しい。
その後も
《注意深い一年生、キーロル》と相性が良い
《蝕甚化したキスキン》《ミストメドウ議員》などをピックしつつ、最後の方に
《締め出し》までもらえて感謝。
デッキは結構強いキスキンに仕上がりました。
ほぼキスキン専用の
《勇敢な鶏騎士》が帰ってこなかったので卓にもう1人いそうではありますが、その穴を適当に取った
《海辺潜み》などでしっかり埋めれてマナカーブ的には大丈夫そうです。
派手ではないですがレア、除去、マナカーブとそれなりに揃っているので2-1から3-0を狙いたいところ。
R1 赤白t緑巨人 ××
R2 青白マーフォーク ×◯◯
R3 黒緑エルフ ◯◯
R1こそスクリュー&フラッドにより会場最速の敗北を喫しましたが、R2とR3はデッキの持ち味が出せて快勝!R3は完成度の高いエルフでしたが、こちらもしっかりと回ることで圧倒することができました。フィーチャー卓で勝つのは普通に勝つ2倍ぐらい気持ちいいですね。
(多分配信されてないと思いますが、サブフィーチャーでした)ドラフトを2-1で折り返し、いざスタンダードラウンドへ!
スタンダード
R4 バント律動 ×◯◯
R5 ディミーアミッドレンジ ◯××
R6 イゼット果敢 ×◯×
R7 5色律動 ◯××
R8 バント律動 ××
初戦を勝って3-1。あと1つ勝てば2日目確定というところから、あれよあれよと負け続け、4連敗。
トータル3-5で初日落ちとなりました。律動のミラーマッチはともかく、問題だったのはR5とR6。どちらも好ゲームで勝ち得たはずでしたが、R5は途中の形勢判断を間違えて惜敗。R6に至っては99%勝っていたはずなのにラストターンで見落としてしまい、相手のトップデッキと噛み合って大逆転負けを喫しました。
ド本命を使って、メタられてた上に、自分のプレイも全く冴えず。
まさに負けるべくして負けたプロツアーでした。完敗です。終わりに
今回のプロツアーは、僕だけでなくチーム全体で見てもスタンダードは大敗でした。木原のみ8-2と好成績でしたが、
2日目に進出したメンバーは軒並み6-4~3-7と低アベレージ。シミックに至っては1-4の僕以外も6-4、6-4、5-5、4-6、3-7と勝率50%を割る有り様です。
チームにとっても個人にとっても、反省の多いプロツアーとなりました。
2024年のチャンピオンズカップファイナルで優勝し、プロツアー&世界選手権の権利を獲得してから約2年。今回の敗北により、ついにプロツアーの権利が途絶えてしまいました。この2年間で8イベントに参加して3回も初日落ちしているので、このアベレージの低さ=安定感の無さが今の自分の実力なのだなと痛感しました。
大きく勝つのも大事ですが、プロツアーに出続けるためには大きく負けないことも大事なのです。
アニムスでは、死はひとときの失敗に過ぎない。
プロツアー戦線からは脱落してしまいましたが、幸いなことに世界選手権2日目進出や累積AMPのおかげでしばらくは予選免除でチャンピオンズカップファイナルに出場できそうなので、また一から腕を磨いて出直すつもりです。
またプロツアーに出れるように。いつか目標=世界選手権優勝を達成できるように。改めて頑張っていきたいと思います!それでは今回の記事はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!