「THE LAST SUN 2025」TOP8入賞レポート │ 高橋優太


先週末は晴れる屋さん主催の「THE LAST SUN 2025」に参加しました。

一年の締めくくりとなる大会で、スタンダードとレガシーをそれぞれ戦う混合フォーマットです。
以下その大会レポートです。

目次

▪️参考情報
▪️スタンダード:イゼット講義
▪️レガシー:スゥルタイテンポ
▪️大会結果
▪️おわりに


参考情報


THE LAST SUN 2025 カバレージ(晴れる屋)

スタンダード:イゼット講義


デッキリスト
土地:22枚
6:《島/Island》
3:《山/Mountain》
4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
4:《リバーパイアーの境界/Riverpyre Verge》
4:《マルチバースへの通り道/Multiversal Passage》
1:《アグナ・ケラ/Agna Qel'a》

クリーチャー:5枚
3:《ばあば/Gran-Gran》
2:《量子の謎かけ屋/Quantum Riddler》
呪文:33枚
4:《嵐追いの才能/Stormchaser's Talent》
4:《火の技の修行/Firebending Lesson》
3:《ブーメランの基礎/Boomerang Basics》
4:《美術家の才能/Artist's Talent》
4:《積み重ねられた叡智/Accumulate Wisdom》
4:《爆裂の技/Combustion Technique》
3:《愛着を捨てる/Abandon Attachments》
2:《アイローの表演/Iroh's Demonstration》
2:《飲めば潤う!/It'll Quench Ya!》
3:《忍耐の記念碑/Monument to Endurance》

サイドボード:15枚
1:《削剥/Abrade》
2:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
1:《否認/Negate》
1:《塔の点火/Torch the Tower》
1:《本質の散乱/Essence Scatter》
1:《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1:《クルクの伝説/The Legend of Kuruk》
1:《忘却を超える速度/Outpace Oblivion》
2:《無効/Annul》
1:《量子の謎かけ屋/Quantum Riddler》
1:《スパイダーセンス/Spider-Sense》
1:《轟く機知、ラル/Ral, Crackling Wit》
1:《呪文貫き/Spell Pierce》
アバターで収録された「講義」タイプを持つインスタント・ソーサリーを中心にしたデッキです。

《ブーメランの基礎》は自分の《嵐追いの才能》を戻す事で、カワウソの果敢を誘発させながらもう1体カワウソを生成。複数のカワウソと、《ばあば》により序盤から攻めていきます。

除去やブーメランで相手の盤面を対処しつつ、中盤は《積み重ねられた叡智》で3ドロー!2マナ3ドローはマジックの歴史上でも最上級!
《積み重ねられた叡智》で3ドローした後に《嵐追いの才能》のレベル2で墓地から回収して、中盤から後半にかけリソース差を付けていきます。

序盤はカワウソと《ばあば》、中盤は大量ドローと、どのゲームレンジでも戦える事を評価して使用しました。

美術家の才能忍耐の記念碑
そして講義呪文と合わせて、デッキの軸になっているのが《美術家の才能》《忍耐の記念碑》です。

この2つが揃うことで、クリーチャーでない呪文を唱えるたびに引いて捨てるが行われて《忍耐の記念碑》が誘発します。
多くの場合は1回目の誘発でドロー、2回目に宝物、3回目の3点ライフです。

《忍耐の記念碑》の誘発は各ターンに3回までですが、インスタントで相手のターンに動く事で、自分のターンと相手のターンを合わせて大量ドロー、宝物、3点ライフを繰り返します。

今回《忍耐の記念碑》は3枚に抑えました。《忍耐の記念碑》だけを引いた場合に動きが悪くなることが理由です。

3マナで出すだけでは盤面に全く影響が無く、《美術家の才能》《愛着を捨てる》など他のカードが必要になって来ます。
特に序盤は相手のクリーチャー除去などでマナを使うため、《忍耐の記念碑》を置く暇がなく、手札に複数《忍耐の記念碑》だけが溜まる事が敗因になると考えました。

それとは逆に《美術家の才能》は、デッキを回していく上で最優先のカードなので4枚。
《美術家の才能》さえ置けていれば、どんどんドローしていけるので土地事故やマナフラッドが起きにくく、能動的に講義呪文を墓地に送れるので《ばあば》《積み重ねられた叡智》の講義3枚達成も早くなります。

量子の謎かけ屋
メインに《量子の謎かけ屋》は珍しいと思います。
もともとはサイドボードだったのですが、どんな相手にも毎回サイドインしていたのでメインに昇格。デッキ全体が軽いので手札1枚で2ドローするのが簡単。

さらに《量子の謎かけ屋》ワープから《美術家の才能》の組み合わせはコンボと言える動きで、《美術家の才能》は捨ててから引くので《量子の謎かけ屋》の「手札が1枚以下なら2ドロー」の条件を満たしやすく、非クリーチャー呪文の連打で1ターンに6-7枚ドローすることすらあります。
単純に、《量子の謎かけ屋》が消耗戦の後のドローとしても強いです。

飲めば潤う!
《飲めば潤う!》は、メインに少しは打ち消し呪文があった方が、相手の3-4マナの呪文を唱える事に裏目を作る事ができます。こういうマナ払え系の打ち消し呪文を入れるのが、僕の好みなのもあります。

サイドボードは、イゼット系のデッキ全般に強い《無効》と、墓地対策の《魂標ランタン》だけは2枚確定で、あとは1枚ずつに散らしました。

どの除去や打ち消しも強い場面と弱い場面があるので、相手によって使い分けたかったからです。1枚挿しのインスタントでも、このデッキはドローが豊富で《嵐追いの才能》の回収もあるので、意外とゲーム中にアクセスできます。

特に強かったのは《本質の散乱》で、相手の《量子の謎かけ屋》を打ち消していました。
《忘却を超える速度》は珍しいですが、相手の《悪夢滅ぼし、魁渡》を倒せる除去として採用。《ブーメランの基礎》で戻すこともできます。

クルクの伝説轟く機知、ラル
サイドボードの対コントロールや対ディミーアミッドレンジの枠なのですが、今回両方とも当たらなかったので一度も使いませんでした。
対コントロール枠として《失せろ》されてもアドバンテージが得られるので、《クルクの伝説》の方が少し強いかも。

レガシー:スゥルタイテンポ


デッキリスト
土地:19枚
1:《島/Island》
3:《Underground Sea》
1:《Tropical Island》
1:《Bayou》
1:《地底街の下水道/Undercity Sewers》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》
4:《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《不毛の大地/Wasteland》

クリーチャー:10枚
4:《知りたがりの学徒、タミヨウ/Tamiyo, Inquisitive Student》
3:《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》
3:《濁浪の執政/Murktide Regent》
呪文:31枚
4:《渦まく知識/Brainstorm》
4:《思案/Ponder》
4:《思考囲い/Thoughtseize》
3:《致命的な一押し/Fatal Push》
4:《目くらまし/Daze》
2:《ウィザーブルームの命令/Witherbloom Command》
1:《誉れある死者の目覚め/Awaken the Honored Dead》
2:《悪夢滅ぼし、魁渡/Kaito, Bane of Nightmares》
2:《殺し/Snuff Out》
4:《意志の力/Force of Will》

サイドボード:15枚
2:《否定の力/Force of Negation》
3:《記憶への放逐/Consign to Memory》
2:《花の絨毯/Carpet of Flowers》
1:《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
2:《バロウゴイフ/Barrowgoyf》
2:《青霊破/Blue Elemental Blast》
2:《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred's Edict》
1:《誉れある死者の目覚め/Awaken the Honored Dead》
スゥルタイ・テンポを使用しました。
レガシーで《目くらまし》《不毛の大地》を使い、相手との行動回数に差を付けて勝つデッキの総称を「○○テンポ」と呼びます。

《知りたがりの学徒、タミヨウ》は青の中速デッキの中心と言える存在です。
《渦まく知識》《老練の学匠、タミヨウ》に変身して、[-3]で状況に合わせてインスタント・ソーサリーを回収。[-7]を起動できれば20枚以上ドローするのでほぼ勝ちです。

《オークの弓使い》は、青いデッキが《渦まく知識》《思案》を使う事が多いので、能力で相手のドロー呪文を制限するのが強み。
オークが出ていると《渦まく知識》は3点ダメージと動員3されるので使いにくく、実質唱えるのを禁止されるような状態になります。しかしオークは青くないデッキ相手にはそこまで強さを発揮しないので、サイドアウト候補にもなりやすいです。

《思考囲い》は相手の序盤の動きを妨害して、特にコンボデッキに対して強いです。
《老練の学匠、タミヨウ》の[-3]から回収してもう1回《思考囲い》を唱える動きが強く、タミヨウ裏面の定着を狙いやすいです。
ただ速攻デッキに対しては《思考囲い》の2点のライフ喪失が痛い場面も多いので、カードの強さが均質なイゼットデルバー相手に対して《思考囲い》は弱め。

花の絨毯ウィザーブルームの命令誉れある死者の目覚め
青黒2色のディミーア・テンポと大部分は同じですが、少し緑をタッチしています。

サイドボードの《花の絨毯》はテンポデッキ対決で特に強く、だいたい2マナ以上生み出せるので相手の《目くらまし》《不毛の大地》の両方を弱くすることができます。《花の絨毯》さえ出れば3マナのカードを《目くらまし》を恐れずにプレイできます。

《ウィザーブルームの命令》で主に使用するモードは「クリーチャーでない2マナ以下を破壊」「土地回収」「-3/-1」で、たまに「2点ドレイン」です。

「クリーチャーでない2マナ以下を破壊」は《虚空の杯》《老練の学匠、タミヨウ》《豆の木をのぼれ》、サイド後相手の《花の絨毯》への対策です。メインに少し《ウィザーブルームの命令》がないと《虚空の杯》X=1でハマりやすいのと、裏返った《老練の学匠、タミヨウ》を破壊できるのが便利。

《誉れある死者の目覚め》は何でも除去できて、使用した感触は良いです。
相手の《バロウゴイフ》を除去しつつ、3章効果で自分の《バロウゴイフ》《不毛の大地》を回収できるのが強みです。

エンチャントが墓地に行くことで《バロウゴイフ》のサイズが上がって、相手の墓地の《ミシュラのガラクタ》と合わせて6/7まで育てば《邪悪な熱気》《バロウゴイフ》が死ななくなります。
他にも《実物提示教育》で出せる、青いので《意志の力》のコストにできるなどもありますが、3マナはレガシーでは重い方なのでメイン1サイド1くらいが適正。

《致命的な一押し》だけだと《濁浪の執政》で負ける事が多いので、除去枠は《殺し》を追加。
現在の青いテンポデッキは《知りたがりの学徒、タミヨウ》《濁浪の執政》を採用する事が多く、それらを0マナで破壊できる《殺し》は強い!

エルドラージ系や親和、石鍛冶系のデッキにも《殺し》は良く効きます。しかしライフ4点支払いも痛いので、2枚が限界。

《シェオルドレッドの勅令》は2マナが少し重いですが、《河童の砲手》など護法持ちを除去できる強みがあります。

《バロウゴイフ》今のレガシーの黒の主役と言えるクリーチャーで、生き残れば1枚で勝てる性能。
ただ、レガシーでは3マナが少し重く、コンボデッキやカーンフォージなどに対しては2マナで出せて《意志の力》のコストにもなる《濁浪の執政》に軍配が上がります。
テンポデッキが多い環境なのであれば、メイン《バロウゴイフ》たくさんでも良いと思います。

《悪夢滅ぼし、魁渡》は相手によって強さが上下しやすく、例えばイゼットデルバーやエルドラージに対しては相手のクリーチャーの攻撃で落されやすく弱め。
白や黒の中速デッキに対してはクリーチャー除去が効きにくいので強く、コンボデッキに対しては[0]能力で《思考囲い》《意志の力》を探していけるのが強いです。

《バロウゴイフ》《濁浪の執政》《悪夢滅ぼし、魁渡》は3ターン目に出すパーマネントでどれも一長一短なので、そのときのレガシー環境に合わせて枚数を選ぶことになります。

大会結果


スタンダード
〇赤単
〇イゼット・ルーティング
〇イゼット講義
×ナヤ・ユウナ
〇イゼット・ルーティング
〇イゼット・ルーティング
〇イゼット・ルーティング

レガシー
×ディミーア・テンポ
〇スニークショー
〇オムニテル
×ディミーア・テンポ
〇親和
〇アゾリウス石鍛冶
〇イゼット・デルバー

11勝3敗でトップ8に進出。

SE
×エルドラージ

準々決勝でエルドラージに敗北。
相手のスタンダードのデッキがメインに《再利用の賢者》4枚と墓地対策6枚だったので、イゼット講義だと不利だと考えてレガシーを選びましたが、残念ながらレガシーも不利でした。

おわりに

これにて今年のマジックの大会は終了。

今年一番お世話になったのは《量子の謎かけ屋》で、もはやスタンダードだけにとどまらずモダンやレガシーでも大活躍しています。今後も良く見るでしょう。

《バロウゴイフ》はフェアな対決では無類の強さを持ち、レガシーの黒いデッキなら必ず採用したいほど。
スゥルタイ・テンポで使用した《ウィザーブルームの命令》《誉れある死者の目覚め》は、まだまだ安いと思うので集めておくことをおすすめします。

それではまた。

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