皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
今週末・来週末と
2週間連続でチャンピオンシップ予選が開催されます。フォーマットはヒストリック!
ということで今回の記事では、先週末に開催された
Red Bull Untapped 2021 日本予選から、注目のデッキをいくつか紹介していきたいと思います。
目次
▪️ゴルガリストンピィ
▪️イゼットフェニックス
▪️セレズニアエンチャントレス
▪️終わりに
ゴルガリストンピィ
今回見事トップ8進出を果たした、ヒストリック版の(ほぼ)緑単アグロ。優秀な1マナ域が2スロットあるため、しっかりと最序盤から動きつつ
対戦相手より1サイズ大きいクリーチャーを展開して盤面を制圧していきます。スタンダードの緑単と異なり《
吹雪の乱闘/Blizzard Brawl》のような除去呪文はほとんど採用されておらず、メインボードに至っては相手のクリーチャーに触れるのは実質的には《
アーク弓のレインジャー、ビビアン/Vivien, Arkbow Ranger》のみ。
毎ターンクリーチャーを出し、純粋に殴り続ける構成になっている、愚直とも言えるビートダウンデッキです。
直近のメタゲームではイゼットフェニックスやジェスカイコントロール、赤単マッドネスなど除去が赤い火力に寄っているデッキが多かったため、《
鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》《
老樹林のトロール/Old-Growth Troll》といった
マナレシオに優れたクリーチャーたちが大活躍したことでしょう。《
邪悪な熱気/Unholy Heat》、《
稲妻のらせん/Lightning Helix》、《
神々の憤怒/Anger of the Gods》といった除去呪文をあざ笑いながら
タフネス4以上のクリーチャーを展開し続けるだけで勝てるゲームも多かったと思います。サイドボードには人間デッキ、マーフォークデッキといった部族アグロ対策として《
魔女の復讐/Witch’s Vengeance》が3枚採用されていますが、
そのための黒マナは13枚とパッと見少なめ。本当は《
闇孔の小道/Darkbore Pathway》を増やしたいところですが、そのために《
森/Forest》を減らすと今度は《
森林の墓地/Woodland Cemetery》のタップイン率が下がる、、、といった悩みが伝わってきます。
黒マナが13枚あれば4ターン目(=ドロー10枚)に2枚以上引く確率は70%近くありますので、その確率でOKとするか足りないとするかはかなり人によるかもしれませんね。《
魔女の復讐/Witch’s Vengeance》というカードが打てたときの強さは圧倒的なので、
多少遅れても許せるという点も加味してギリギリOKかなと個人的には思います。イゼットフェニックス
かつて栄華を誇ったイゼットフェニックス。《
渦まく知識/Brainstorm》の一時停止(からの禁止)により弱体化され一時はメタの片隅に追いやられていましたが、
Jumpstart: Historic Horizonsで
モダンホライゾン2の優秀なカードたちが一気に再録したことにより復権。
今大会でも233人中31人=13%が使用、そして3人がトップ8進出とトップメタのデッキとして君臨しています。今回紹介するこのユンさんのイゼットフェニックスは、最終戦で破れたことによりトップ8こそ逃しましたがトップ16と見事な成績を残しており、
そして何よりも他のデッキリストと比べて圧倒的に異端です。スタンダード・ヒストリック共通の「最強カード」と名高い《
表現の反復/Expressive Iteration》を2枚しか採用しておらず、一般的に20-21枚採用されている土地はなんと17枚まで切り詰められています。そのスロットに採用されているのは、
なんと《異世界の凝視/Otherworldly Gaze》《一攫千金/Strike It Rich》というリミテッドですらほとんど見かけない1マナスペルたち!!
そう、他のイゼットフェニックスを「安定型」とするなら、このリストは
「超初速重視型」。圧倒的に軽く・速く作られており、《
弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》にたどり着く速さとスペルを唱える回数を、超軽量スペルたちで実現しているのです。
サイドボードでキラリと光るのが《
渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》。
久しぶりに見たこのカードですが、恒久的な除去としての性能は言うまでもありません。特にこのデッキが苦手としている《
エスパーの歩哨/Esper Sentinel》《
スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》に対する
キラーカードとしては最高峰といえるでしょう。自分がイゼットフェニックスを使うなら是非サイドに入れたいなと思わせる1枚です。
セレズニアエンチャントレス
エンチャントレスといえばレガシーで昔から熱狂的ファンがいるデッキですが、その根幹となるのが《
アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress》と《
女魔術師の存在/Enchantress’s Presence》。
これらを盤面に定着させてから各種エンチャントをどんどん連鎖させていくのがエンチャントレスの基本戦略となります。
今回
モダンホライゾン2から再録された《
収穫の手、サイシス/Sythis, Harvest’s Hand》は除去耐性こそありませんが2マナのエンチャントレスということで《
アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress》を彷彿とさせますし、《
女魔術師の存在/Enchantress’s Presence》だけでなく《
真の木立ち/Sterling Grove》もそのまま
モダンホライゾン2から再録されているという、まさに
「ヒストリックでもエンチャントレス組んでくれよな」という開発部の意図を汲んだ構成となっています。
エンチャントレスの強みの一つとして、
無理なくメインから《安らかなる眠り/Rest in Peace》を大量に搭載できるという点が上げられます。
現在のヒストリックでは上位メタとしてイゼットフェニックスやジャンドフードといったデッキが存在しており、それらに劇的に刺さるのが《
安らかなる眠り/Rest in Peace》。特にメインからは触れる手段が限られるため、
これ1枚で相性を大幅に改善できるのです!
そしてエンチャントが中心のデッキということで、ヒストリックではお馴染み2枚コンボも搭載されています。《
九つの命/Nine Lives》は単体でも延命する力が非常に強いのですが、隣に《
厳粛/Solemnity》が出ればあら不思議。《
厳粛/Solemnity》の能力で具現カウンターが《
九つの命/Nine Lives》に乗らなくなるため、
ダメージでは死なない「無敵」状態が完成!ジェスカイコントロールには《
ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》で対処されたり、ジャンドフードには《
大釜の使い魔/Cauldron Familiar》のルーズライフが止まらなかったりはしますが、イゼットフェニックスやセレズニア人間カンパニーのように
純粋にダメージでライフを狙ってくるデッキにはこのコンボだけで封殺できることが多いです。コントロール系全般を苦手としているデッキなので、その分サイドボードは対コントロールカードを大量に採用しています。
タッチ黒してまで採用している手札破壊はそれぞれ用途が異なり、ジャブとして打てる《
思考囲い/Thoughtseize》と必殺の《
思考のひずみ/Thought Distortion》の2種類が採用されています。特に《
思考のひずみ/Thought Distortion》は最近あまり見ていませんでしたが、
《渦まく知識/Brainstorm》なき今、ジェスカイコントロールなどにはクリーンヒットすること間違いなし!終わりに
大会結果を見る限りは5色ニヴが勝率・上位者ともに少なく負け組のようですが、
イゼットフェニックス・ジャンドフード・セレズニア人間カンパニーといったデッキたちはどれも非常に強力で、予選を出る以上無視できない存在といえそうです。
チャンピオンシップ予選は
オンライントーナメントと異なりデッキ非公開制ですので、そこを強みとして出せるデッキもいいかもしれません。特に相手側の初手のキープが緩くなる可能性があるアゾリウスオーラや、普段使いづらいサイドプランを採用できる余地があるジェスカイ系などは、オンライントーナメントよりも勝率が出るかもしれません。
また初日・2日目と長丁場となるチャンピオンシップ予選では自分のデッキへの「慣れ」が非常に重要です。特に今回は従来と異なり
「リーグウィークエンド」でのトッププロたちのデッキが公開されてメタゲームやデッキリストが一新されるといった事態はありませんので、現時点でのやり込みを信じるのも大事だと思います!皆さん頑張ってください!!
それでは今回はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!