先週末は、各地でエリア予選が開催されました。
エリア予選は、上位入賞することでチャンピオンズカップファイナルの権利を獲得できます。
競技的にマジックをプレイするプレイヤーにとって、プロツアーや世界選手権などを目指すきっかけになる大会です。
今回の記事では、各地のエリア予選からスタンダード環境を分析して行きます。
目次
▪️エリア予選結果一覧
▪️先週のメタゲーム
▪️注目デッキ紹介
▪️アゾリウスコントロール
▪️おわりに
エリア予選結果一覧
チャンピオンズカップシーズン3ラウンド3
エリア予選 in 晴れる屋TC東京 エリア予選 inドラゴンスターオタロード中央店 エリア予選 in 晴れる屋札幌 エリア予選 in 晴れる屋TC大阪 エリア予選 in トーナメントセンターバトロコ高田馬場店各地のエリア予選の大会結果を参考にしています。
先週のメタゲーム
なんと
権利獲得者の半数近くが、ハツカネズミたち中心の赤アグロという結果に! 《
亭主の才能》の入ったグルールより《
稲妻の一撃》を入れた赤単の割合が多いです。
より相手のライフを詰めることに特化した方が、相手による裏目が少なく自分の回りを押し付けていけます。あまり活躍できなかったのは
ドメイン、全知コンボでしょうか。
ドメインは序盤タップインで出遅れやすいデッキで、《
跳ねる春、ベーザ》の枚数を多くするなどしないとドメインは赤アグロに少し不利です。
全知コンボには墓地対策が効きますが、墓地対策は《
一時的封鎖》される可能性もあるので完全な対策とは言えません。
よりクリティカルな対策の《石の脳》が使われ出した事で勝ち切れなかった印象です。 先週の僕の全知コンボの記事に反響が大きく、また優勝した平山さんも大会レポートを出したため、
エリア予選に出る競技プレイヤーでかなり対策が増える結果となりました。《
悪夢滅ぼし、魁渡》を中心にしたデッキはエスパーピクシーやディミーアミッドレンジがありますが、
先週の大会結果ではディミーアの権利獲得者数がエスパーよりも多いです。エスパーピクシーはどうしても土地ダメージが多く、特殊地形だらけなので《
陽背骨のオオヤマネコ》から大ダメージを受けてしまいます。それに対してディミーアは土地ダメージが少なく基本地形も多め。
この差が赤アグロに勝てるかどうかの分岐だったのかなと予想しています。注目デッキ紹介
赤単アグロ
使用者:Miyawai Takahiro
チャンピオンズカップシーズン3ラウンド3エリア予選 in TC東京 権利獲得先週最も多くの権利獲得者を輩出したのが、この赤単アグロ(タッチ緑)。 1ターン目《
心火の英雄》、2ターン目《
多様な鼠》で二段攻撃4点という動きは、たとえダブルマリガンでも一瞬でライフを削り切る事が出来ます。
ここに3ターン目《
熾火心の挑戦者》と《
巨怪の怒り》が合わされば3ターン目に16点入るので、なんと
3ターンで合計20点ダメージ! ハツカネズミ以外のクリーチャーも《
僧院の速槍》《
叫ぶ宿敵》と、速攻で相手のライフを削る事に特化したデッキ構成で、安定性が高いです。
権利獲得者の多くが、メインもしくはサイドの《探索するドルイド》をタッチしていました。相手のクリーチャー除去が増えるサイド後は特に、
リソース源になる《探索するドルイド》がとても重要。 問題はドルイドをプレイするための緑マナを何枚入れるかですが、デメリットのない《
ソーンスパイアの境界》4枚は確定として、《
銅線の地溝》《
カープルーザンの森》が候補。権利獲得者の中では、《
銅線の地溝》2枚のリストが多かったです。
しかし、このデッキは4ターン目以降もアンタップインの土地でマナ効率よく動いていきたいので、
僕の意見としてはアンタップインの《カープルーザンの森》の方が良いと考えています。《
獣の探索》でめくれた時にタップインなのはかなりのデメリット。
ただ、《
カープルーザンの森》のダメージが痛いから《
銅線の地溝》派の考えもよくわかります。ここらへんは個人の好みが出そう。
最近の赤単アグロは、
ryuumeiさんの素晴らしい記事の影響か、《陽背骨のオオヤマネコ》4枚のリストが増えています。今のメタゲームでドメイン、エスパーピクシー、ジェスカイ眼魔など、基本地形がわずかで特殊地形だらけのデッキは多く、実際に《
陽背骨のオオヤマネコ》は強い!
特にお互いが攻撃し合うエスパーピクシー、ジェスカイ眼魔などに対しては自分の《
陽背骨のオオヤマネコ》からのダメージを極力減らしたいので、
《山》は最低でも10枚は入れたいです。ボロスハツカネズミ
使用者:Sakai Tomohiro
トーナメントセンターバトロコ高田馬場店 シーズン3 ラウンド3 エリア予選 権利獲得赤単ほど数は多くないものの、複数の権利獲得者を輩出していたのが
ボロスハツカネズミ。 基盤となる《
心火の英雄》《
熾火心の挑戦者》《
多様な鼠》は一緒ですが、さらにハツカネズミによるシナジーを追加。
《
小癪な家ネズミ》は出来事で《
心火の英雄》《
熾火心の挑戦者》の雄姿を誘発させつつ、本体も1マナ2/1としてプレイ可能。パワー3以上にブロックされない能力付与も、黒ミッドレンジ相手に役立つ場面があります。
《
岩山炎の後継者、メイブル》は味方のハツカネズミを強化しつつ装備品生成。装備品は《
心火の英雄》《
熾火心の挑戦者》の雄姿を誘発させられます。
赤アグロが多い環境なら、絆魂付与の《幽霊による庇護》はゲームを決定づける性能があります。護法の2マナを払うのはなかなか難しく、一気にダメージレースが逆転します。同様に《
稲妻のらせん》の3点回復も、赤アグロが多い環境なら重要!
《
選定された平和の番人》は、ドメインや全知コンボを意識しての採用でしょう。《
審判の日》など全体除去を指定すれば2マナ重くすることによりライフを削り切れて、《
アブエロの覚醒》を指定すれば相手のコンボターンを遅らせられます。3マナなので《
一時的封鎖》に巻き込まれないのも大事!
《
ボロスの魔除け》は対白系ミッドレンジに効くサイドボードで、
最近は全体除去が《審判の日》なので破壊不能で防げます。もちろん最後の4点火力としても優秀。
ジェスカイ眼魔
使用者:Imai Kenta
チャンピオンズカップシーズン3ラウンド3エリア予選 in TC東京 権利獲得《
逸失への恐怖》《
太陽の執事長、インティ》など手札を捨てながら引くカードを多用してデッキを掘り進めながら墓地を貯めつつ、《
忌まわしき眼魔》を早いターンに出して攻めていくデッキです。
本来6枚の墓地が必要な《
忌まわしき眼魔》ですが、手札から捨てつつ《
救いの手》や《
再稼働》といったリアニメイト呪文と合わせることで3ターン目に出す事が出来ます。戦慄予示して嬉しいクリーチャーが多いデッキなので、一度戦慄予示できれば眼魔を除去されても後続に繋がりやすい!
《
蒸気核の学者》は単純にドロー能力が強いだけでなく、警戒が《
逸失への恐怖》の戦闘フェイズ追加と相性が良く、リアニメイトしても嬉しいので、
デッキの全てのカードと噛み合っています。権利獲得者のリストで目に留まったのが《
カワウソボールの精鋭、キッツァ》と、4枚目の《
プロフトの映像記憶》の採用です。
《
カワウソボールの精鋭、キッツァ》は警戒が《
逸失への恐怖》の戦闘フェイズ追加と相性が良いのは同様で、ルーター能力でデッキを回していけるのがデッキに噛み合っており、少し不足していた序盤のアクションの追加にもなります。
コピー能力でリアニメイトをコピーするのも強い!《
プロフトの映像記憶》は伝説なので2枚置けないですが、
このカードを引くかどうかでデッキの打点がかなり変わるので絶対に引きたいという意志が伝わってきます。これもまた《
逸失への恐怖》の戦闘フェイズ追加と相性が良く、このコンボが決まると一気に10点以上ライフを削っていけます。
アゾリウスコントロール
使用者:Yoshida Yuuji
ドラゴンスターオタロード中央店 シーズン3 ラウンド3 エリア予選 権利獲得序盤や打ち消しや除去で捌きながら、《
食糧補充》でアドバンテージを獲得して、最終的にはリソース差を付けて勝つコントロールデッキです。
メインサイド合わせて合計4枚の《跳ねる春、ベーザ》が採用されており、赤アグロ全盛のメタゲームでは非常に有効に働いたでしょう。《食糧補充》はスタンダードでも屈指の強力なカードであり、僕自身もこのカードを是非使いたいと考えているので、もし僕が次の予選に出るならアゾリウスコントロールを選びそうです。コントロールデッキの一番の課題は、対ドメインをどう攻略するかです。 ドメインには《
豆の木をのぼれ》や、最近は減少傾向にありますが《
魂の洞窟》からの大主があるため、どうしてもアドバンテージ差を付けられやすいです。
コントロールデッキを組むとしたら、《
完成化した精神、ジェイス》や《
終末の加虐者》など相手のライブラリーアウトを狙う方向でデッキを組まないと、対ドメインにリソース量で追い付くのは難しいです。
おわりに
エリア予選1週目は、赤アグロが大活躍する結果となりました。
メタゲームは流動するものなので、
これを受けて以下の現象が予想されます。①赤アグロ用に《跳ねる春、ベーザ》や軽いクリーチャー除去が増える。 ②《跳ねる春、ベーザ》や軽いクリーチャー除去を無視できるドメインや全知コンボが増える。 ③ドメインや全知コンボ用に《呪文貫き》、《石の脳》などが増える。 ④元に戻って赤アグロが増える。すべてはメタゲームであり、いつも強いデッキはなかなか見つからないのが面白い所。この記事がメタゲームを分析する手助けになれば幸いです。
それではまた。