先週末は、アメリカのオーランドでスポットライトシリーズが開催されました。
イゼット大釜が支配的な強さと言われていますが、はたして結果はいかに。
目次
▪️参考情報
▪️赤単
▪️赤単《最深の力、オヘル・アショニル》
▪️イゼット大釜
▪️イゼット大釜は強すぎるのか
▪️おわりに
参考情報
デッキリスト一覧(MELEE)参加者674名と、アメリカのイベントにしては少なめ。今年6月の日本のスポットライトが2000名集まった事を考えると、FFやプロモの効果はかなり大きかったようです。
イゼット大釜が強すぎて環境が煮詰まっている事も原因かも知れません。
赤単
優勝したのは赤単!ダメージ効率の良い軽量クリーチャーと本体火力で相手のライフを削り切る速攻デッキです。
《焼き切る非行士》は威迫によってブロックされにくく、スピード4まで上がれば二段攻撃で大ダメージ!
《心火の英雄》《巨怪の怒り》が禁止されてハツカネズミたちは見なくなりましたが、それでも
《熾火心の挑戦者》は単体性能が高く、
《岩面村》の起動と合わせて中盤のアドバンテージ源にもなります。
《剃刀族の棘頭》はイゼット大釜の多いメタゲームによって注目されており、相手のドローするカードをダメージ源に変えて行きます。
暗殺者なので《保安官を撃て》されないのも地味に強い。最近どんどん使用率が上がってきているのが《新星のヘルカイト》。3マナのワープでも5マナ素出しでもダメージ効率が良く、相手のタフネス1を焼きながら4点殴るのが強力で、
メインサイド合わせて4枚採用する赤単が増えて来ました。イゼット大釜が
《プロフトの映像記憶》でサイズを上げてくる事を考えて、除去は
《焦熱の射撃》が優先されています。5点は前述の
《新星のヘルカイト》も除去出来ますし、自分の
《叫ぶ宿敵》に撃つ事で本体5点火力としても使えるので、
《焦熱の射撃》優先は納得。
配信を見ていて活躍していたのが《復讐に燃えた憑依》。相手の
《量子の謎かけ屋》のコントロールを奪えば4点与えられて、手札が少ないときなら2ドロー出来ます。
《灯を追う者、チャンドラ》《陽背骨のオオヤマネコ》はどちらもコントロール系のデッキに強く、除去1枚では対処しにくい、ダメージ効率の良いカードです。
赤単《最深の力、オヘル・アショニル》
トップ8にはもう1つ赤単が入賞していましたが、
かなり異なる構成です。
目を引くのが《最深の力、オヘル・アショニル》!戦闘でないダメージを自身のパワーぶん、つまり4点に変換します。
これにより
《雇われ爪》の攻撃時の誘発は4点、
《狂信的扇動者》を生贄にしても4点、
《煮えたぎるバイパー》《剃刀族の棘頭》の誘発型能力も4点!
《剃刀族の棘頭》でドローする度に4点なら、相手のライフはすぐに0に!
それと
《煮えたぎるバイパー》も面白く、クリーチャーとして出しても相手が軽い呪文をプレイする度にダメージ。出来事のバウンスとして使えるように、自分の展開を阻害しない程度に青マナが少し入っています。
《最深の力、オヘル・アショニル》がいると《叫ぶ宿敵》の反射ダメージも4点になります!これだけ強いなら
《最深の力、オヘル・アショニル》を増やしても良さそうですが、伝説で2体出せない事や、除去された時に意外と変身条件が厳しいのが2枚採用の理由でしょうか。戦闘でないダメージで本体4点を与えないと変身出来ないのはかなり難しい。
イゼット大釜
スタンダードで最も高い勝率と使用率を持ち、この大会でもメタゲームの中心だったのがイゼット大釜。引いて捨てるカードで
《迷える黒魔道士、ビビ》を墓地に落とし、
《アガサの魂の大釜》でビビの能力を付与。
《逸失への恐怖》に大釜を起動すれば3マナ出せますし、
《略奪するアオザメ》は+1/+1カウンターが乗るので大釜と相性が良く、ビビ+大釜以外に攻撃するプランも豊富。
墓地を使うデッキですが、単純に墓地対策すれば良いわけではなく、クリーチャーでの攻め手が多彩で、サイド後は打ち消し呪文も多く取れます。これといった弱点がなく、ブン回りが強く安定性も高い、歴代でも最強レベルのデッキです。《量子の謎かけ屋》はこのデッキを完成させたと言えます。手札を大量展開した後に丁度良いリソース補充で、
《逸失への恐怖》など捨ててから引くカードなら「手札が1枚以下の時」の条件を満たしやすい。ワープの2マナでも素出しの5マナでもどちらも使いやすく。イゼット大釜が長期戦に強い理由が豊富なドローですが、
《量子の謎かけ屋》によって安定性がさらにアップしました。
《プロフトの映像記憶》は+1/+1カウンターを置く効果が
《アガサの魂の大釜》と相性が良く、ビビの能力で大量マナを出す→
《量子の謎かけ屋》《冬夜の物語》で大量ドローする→
《逸失への恐怖》に大量の+1/+1カウンターを置いて、2回攻撃して20点なんて動きも可能です。
スタンダードで4ターンキルが難しくないデッキというのは、本当に恐ろしい!サイド後の軽除去や打ち消しも豊富で、ドロー呪文によりこれらにアクセスしやすく、本当に弱点がない最強デッキです!イゼット大釜は強すぎるのか
Day2推移
初日では全体の30%しかいなかったイゼット大釜は、2日目では54%、トップ8では8人中6人で75%で圧倒的です。僕は、
問題は《アガサの魂の大釜》にあると考えています。能力を付与したり、サーチするような能力はカードプールが増える程強力になります。
「エルドレインの森」が発売されたころはスタンダードの期間がまだ短かった頃だったので、ビビほど強い起動型能力は予期できなかったのではないでしょうか。
ローテーションが長くなったことで制御できないほど強力な起動型能力、
つまり《迷える黒魔道士、ビビ》とのコンボが生まれてしまった。今はモダンで禁止されている《出産の殻》に近いものを感じます。
《出産の殻》はカードプールの増加により
《絡み根の霊》を出して4回起動する事で無限コンボで勝ちます。
《絡み根の霊》生贄で《詐欺師の総督》サーチで《出産の殻》をアンタップを2回→《詐欺師の総督》生贄で《修復の天使》サーチで《詐欺師の総督》ブリンクで《出産の殻》をアンタップ→《修復の天使》生贄で《鏡割りのキキジキ》サーチ→キキジキで《詐欺師の総督》コピーで無限トークン。
今はもっと無限のパターンが増えていそうです。
カードプールが増える程強くなる能力は、時として強すぎるコンボを生み出します。《アガサの魂の大釜》がある事で起動型能力を持つクリーチャーをデザインしにくくなる弊害もありそうなので、禁止されてもやむを得ないかなと。
おわりに
スタンダードの大会結果を分析して行きました。
僕は一強環境は好きなのですが、
何かしら行動を起こさないことにはスタンダードがイゼット大釜最強が変わらないと思うので、変化を望みます。
それではまた。