先週末に、アメリカのシアトルで「第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」が開催されました!フォーマットはスタンダードで、プロツアーよりも参加者全体のレベルが高く、世界最強を決める、技と技のぶつかり合い。
僕は2日間解説しました!選手たちの卓越した技を見たい方は、ぜひアーカイブ動画もチェックしてください。
今回の記事では、
世界選手権でトップ8に入賞したデッキを紹介していきます!
目次
▪️参考情報
▪️イゼット講義
▪️ティムール・カワウソ
▪️スゥルタイ・リアニメイト
▪️おわりに
参考情報
第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権(MTG日本公式)
第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 トップ8デッキリスト(MTG日本公式)
第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 全プレイヤーデッキリスト(MTG日本公式)イゼット講義
世界選手権の頂点に立ったのは、イゼット講義!アバターで収録された「講義」タイプを持つインスタント・ソーサリーを中心にしたデッキです。
《ブーメランの基礎》は効率の良いバウンス呪文で、
《嵐追いの才能》を戻す事により、カワウソの果敢を誘発させながら
《嵐追いの才能》を再びプレイでもう1体カワウソを生成。
《嵐追いの才能》をレベル2にした後に
《ブーメランの基礎》で戻す事でレベル2を使い直したりと、
《嵐追いの才能》と相性抜群!《火の技の修行》は本体に撃てないのが
《噴出の稲妻》よりも劣りますが、1マナ除去としては十分な性能。講義を使う事により
《爆裂の技》のダメージ量が増して、5/5や6/6といった巨大クリーチャーにも対処できるようになります。
クリーチャー除去だらけだと相手によっては手札に余ってしまう展開もありますが、
《愛着を捨てる》が除去を捨てながらドローを進めて、墓地の講義の枚数を増やしやすい。
そして墓地に3枚講義が溜まった後は、《積み重ねられた叡智》!2マナで3ドローと、あの《Ancestral Recall》にも匹敵するほどのドロー性能!!!《積み重ねられた叡智》の3ドローで2枚目の
《積み重ねられた叡智》に繋がれば莫大なアドバンテージを得ますし、
《嵐追いの才能》で墓地から
《積み重ねられた叡智》を回収する事もできます。
《ばあば》は伝説のクリーチャーにも関わらず4枚採用。攻撃したときに引いて捨てる能力で、2枚目を引いても手札から捨てる事ができるので、まずは1枚引く事が大事で4枚採用されています。
墓地に3枚講義が溜まると
《ばあば》が覚醒して、非クリーチャー呪文のコストを1マナ軽減。
《積み重ねられた叡智》は1マナ3ドローになり、《爆裂の技》《愛着を捨てる》も1マナと、行動回数で相手を圧倒します。そして講義との組み合わせが強いのが《美術家の才能》《忍耐の記念碑》。このデッキはほとんどがインスタント・ソーサリーなので、
《美術家の才能》レベル1を誘発させやすく、どんどんドローして除去と
《積み重ねられた叡智》に繋げます。レベル2のコスト軽減も強く、たまにレベル3に上げて火力のダメージを増やします。レベル3なら
《アイローの表演》で全体3点も可能。
《忍耐の記念碑》は手札を捨てた時に、ドロー、宝物トークン、3点ライフのどれかを選べます。
《愛着を捨てる》《ばあば》も引いて捨てますし、《美術家の才能》と組み合わせる事で非クリーチャー呪文を唱えるたびに能力が誘発します!多くの場合は
1回目の誘発でドロー、2回目に宝物、3回目の3点ライフです。
《忍耐の記念碑》の誘発は各ターンに3回までですが、このデッキは相手のターンに動くのも容易なので、自分のターンと相手のターンを合わせてどんどんドロー、宝物トークン、3点を繰り返していき勝利します。
サイドボードに目を向けると、打ち消しや除去が複数散らして採用されています。
世界選手権はデッキリスト公開の大会なので、打ち消しや除去を散らして採用する事で相手の判断を難しくさせる意図もあると思います。
特にセスさんは1枚や2枚のサイドボードを多用する事が多いです。《無効》や
《呪文貫き》はイゼット講義のミラーマッチや、他にもエンチャントアーティファクトを軸にしたデッキ相手に役立つので、今後良く見るサイドボードになりそう。
《紅蓮地獄》は
《アナグマモグラの仔》など、緑のマナクリーチャーを中心としたデッキへの対策。
今回の世界選手権は《アナグマモグラの仔》対青赤デッキの構図でしたが、勝率を見るに青赤デッキの方が分が良さそう。《量子の謎かけ屋》はお互いが除去や打ち消しなどでカード交換した後に、手札を補充する役割が強力。
4/6のサイズは赤の火力1枚で対処しにくく、サイド後にイゼットコントロールに変形するためにも《量子の謎かけ屋》が必要。イゼット講義は
《嵐追いの才能》《ばあば》と2種類の1マナクリーチャーで序盤から攻めて行くデッキなので、相手はクリーチャー除去を残す事が多いです。
それを逆手にとって、《ばあば》を全てサイドアウトすれば、相手のクリーチャー除去を腐らせることができそう。《嵐追いの才能》はレベル2があるのでクリーチャー除去に強い性質を持っています。
世界選手権が始まるまで
《忍耐の記念碑》はほぼノーマークの状態だったので、選手たちのサイドボードにアーティファクト破壊の枚数は少な目。
優勝と言う結果を受けて、今後は《無効》や《削剥》などの採用が増えていくでしょう。《魂標ランタン》は特におすすめのサイドボードで、墓地追放で相手の《爆裂の技》《積み重ねられた叡智》を弱くする事ができて、後述するリアニメイトに対しても効きます。ティムール・カワウソ
3位に入賞したのはティムール・カワウソで、《永劫の活力》を軸にしたコンボデッキです。《永劫の活力》により自身のコントロールするクリーチャーが全てマナを生み出せるようになり、これと
《アナグマモグラの仔》を組み合わせる事で各クリーチャーから2マナ出ます。
そして
《渓間の洪水呼び》が加わる事により、非クリーチャー呪文を唱えるたびに自分のカワウソやネズミがアンタップ。これにより、マナを生み出す→アンタップを繰り返していき、最終的には巨大な
《トーテンタンズの歌》で攻撃して勝利するデッキです。
《トーテンタンズの歌》は中間のマナ加速としても優れており、ネズミたちが《永劫の活力》《アナグマモグラの仔》によりそれぞれ2マナ出して、《嵐追いの才能》で《トーテンタンズの歌》を回収してX=10なんて事も可能です。《薮打ち》《花粉の分析》は土地サーチで3色マナベースを安定させるのと、非クリーチャー呪文で
《渓間の洪水呼び》のアンタップを誘発させます。それと
《薮打ち》は格闘除去、
《花粉の分析》は証拠収集で足りないクリーチャーをサーチと、複数の役割を持っています。
今のスタンダードは各デッキが1マナのクリーチャーからスタートするので、1マナ除去は嗜みとして
《塔の点火》4枚。
《永劫の活力》が追放除去に対して弱いのですが、
追放除去にスタックで《塔の点火》で生贄に捧げる事により、追放されずにエンチャント状態で戻ってくる使い方も頻発します。
《嵐追いの才能》は序盤から果敢で攻めて、
《稲妻罠の教練者》はアドバンテージ源です。
これら2種のカワウソと
《咆哮する焼炉》を、
《ブーメランの基礎》で戻す事により、ドローを進めながら盤面を作っていけます。
先にカワウソを場に出しておくことで
《永劫の活力》でのマナ生成を強く使えますし、
《渓間の洪水呼び》と合わせてライフを削るプランも取れます。
スゥルタイ・リアニメイト
行弘賢さんが使用し、トップ8に入賞したのがこのスゥルタイ・リアニメイト!切削や手札から捨てるカードを活用し、
《最後の贈り物の運び手》を墓地に送れば準備完了。
《スーペリア・スパイダーマン》をプレイすることで墓地の
《最後の贈り物の運び手》を選んで、4マナだけど手札からプレイしているので誘発型能力が使えます!
《死せる生》と同じ効果で、相手のクリーチャーを全滅させて自分の墓地からはクリーチャーが全て戻って来ます!この際、4/4飛行で
《最後の贈り物の運び手》のコピーになった
《スーペリア・スパイダーマン》と、もともと墓地にいた
《最後の贈り物の運び手》の両方が場に出ます。これだけでも10点ぶんの飛行で、ここに
《簒奪者、アーデン》が加われば絆魂でライフも回復!
《審判の日》が入った相手だと《最後の贈り物の運び手》コピーだけでは勝てなかったり、リアニメイトミラーでは《最後の贈り物の運び手》の出し合いでゲームに勝てないため、その問題を解決すべく《峰の恐怖》が1枚採用。これにより、
《最後の贈り物の運び手》の能力が解決後に20点を超えるダメージで勝利できます。
切削して墓地を貯めつつ、キーカードの
《スーペリア・スパイダーマン》を探すカード達。
相手の墓地対策が増えるサイド後には、これらのクリーチャーでプレッシャーをかけてダメージで勝利する事があり、実際に行弘さんもサイド後にクリーチャーで攻めていました。
《誉れある死者の目覚め》は
デッキの方向性に合致したカードで、除去で時間を稼ぎながら切削して、3章で墓地の土地やクリーチャーを回収と、3章とも全部強いです。サイド後に墓地対策を出された場合でも、メインに4枚入っているカードで無理なく対処できるのが良いですね。
《花粉の分析》は証拠収集によりキーカードの
《スーペリア・スパイダーマン》を探すのと、打ち消し呪文が多い相手に対しては
《魂の洞窟》を探す事で
《スーペリア・スパイダーマン》を通しにいけます。
サイド後墓地対策や
《倦怠の宝珠》を出された場合にも役立ち、
《網撃の精鋭》《破壊の嵐孵り》で相手の対策カードを破壊します。
《花粉の分析》と
《誉れある死者の目覚め》により、対策カード1枚くらいは難なく乗り越えます。
《災厄の占い師、グラルブ》は、相手の対策カードが増えるサイド後に強く、土地を伸ばしながら墓地肥やし。能力でインスタントタイミングで切削できるので、
《スーペリア・スパイダーマン》がスタック上で
《魂標ランタン》で墓地追放された後に切削で巨大クリーチャーを墓地に落とすことも可能。
グラルブがいれば、土地を伸ばして
《最後の贈り物の運び手》も8マナでプレイもできそうです。
おわりに
アバターの新カード達が強く、特に講義という新デッキの成立は予想外でした!
どのデッキも必殺技と言える動きを持ち、かなり面白いスタンダード環境なので、ぜひ遊んでみて下さい。それではまた。