《コーリ鋼の短刀》は間違いなく『タルキール:龍嵐録』で最強のカードです。単純なクリーチャー除去だけでは対処できず、継続的なトークン生成でダメージ量も大きく、
環境を変えるほど強力です。スタンダードだけでなく、既にモダンやレガシーでも様々なデッキで試されています。
スタンダードのカードプールでは0マナのカードがほぼ無いため、1ターンに呪文を2回使うには
《手練》《選択》といったキャントリップ呪文が適切で、実質
《コーリ鋼の短刀》はイゼット用のカードという印象。
クリーチャー除去に強くてアドバンテージを生み出し、単体でゲームに勝てるほどの性能で、2マナのカードの中でも歴代最高レベルです。今回の記事では、
《コーリ鋼の短刀》デッキを中心に新スタンダード環境を追っていきます。
目次
▪️参考情報
▪️イゼットテラー
▪️グルールアグロ
▪️ジェスカイ眼魔
▪️エスパーピクシー
▪️おわりに
参考情報
・Standard Challenge(4月18日開催)・Standard Challenge(4月19日開催)・Standard Challenge(4月20日開催)・「タルキール:龍嵐録」発売後のスタンダード環境先週末に開催された、スタンダードチャレンジの結果を参考にしています。
《コーリ鋼の短刀》を4枚使うイゼット果敢に関しては、
先週の記事で解説していますのでそちらを参照して下さい。
イゼットテラー
デッキの大部分はイゼット果敢と似ており、
《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》から果敢トークンを生成して、
《手練》《選択》といったキャントリップ呪文で誘発回数を増やして攻めて行くデッキです。
《コーリ鋼の短刀》を使うデッキが増えた影響で、メインから《削剥》が採用されています。今の環境はどのデッキを使うにしろ、相手の
《コーリ鋼の短刀》への除去が欲しい!
《食糧補充》は状況に合わせて必要なカードを探す性能が高く、次のドロー呪文に繋げて
《コーリ鋼の短刀》を毎ターン誘発させられます。
《嵐追いの才能》のレベルアップから墓地の
《食糧補充》を回収する動きが本当に強く、
長期戦でも戦えるのがイゼット系の強みです。
従来のイゼット果敢との違いは、
《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》といった果敢クリーチャーと
《巨怪の怒り》を採用せず、
代わりに《トレイリアの恐怖》《かまどの精》といったクリーチャーを採用している点です。メインのインスタント・ソーサリーの合計枚数が25枚なので、大体3マナか4マナ軽減された状態でプレイできることが多く、
《かまどの精》は出来事でドロー呪文としても扱うことができます。
《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》はどうしても2点火力のクリーチャー除去を受けやすいため、相手の1マナと交換になりやすいです。比較して
《トレイリアの恐怖》《かまどの精》は火力呪文では除去しにくく、
《逃げ場なし》にも耐性があります。
もともと
《嵐追いの才能》《コーリ鋼の短刀》はクリーチャー除去されても損しないカードなので、デッキ全体がクリーチャー除去に対して耐性がある構築になっています。イゼット果敢よりも、中盤から後半にかけて強い、
ミッドレンジに近いデッキ構成です。
そして
《トレイリアの恐怖》《かまどの精》と相性が良いのが
《止まぬ囁き》《冬夜の物語》などの調和呪文。先に撃つ事で
《トレイリアの恐怖》《かまどの精》のコストを軽減して、
《トレイリアの恐怖》《かまどの精》をプレイしたあとはそれらをタップして調和でプレイしやすいです。
環境の除去が1マナ2点や《逃げ場なし》などサイズ系除去に寄ってきている今だからこそ、サイズの大きい《トレイリアの恐怖》《かまどの精》を使って優勝と言う素晴らしい結果を残していました。僕も試してみます!
グルールアグロ
もう一つ、《コーリ鋼の短刀》を使った新しいアプローチで優勝していたのがこのデッキ。定番のハツカネズミセットに加えて、1マナを増やしてデッキ全体を軽くして、
《コーリ鋼の短刀》が誘発しやすい構成になっています。
《弱者の力》は
《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》を誘発させつつ1ドローするので、
手札を減らさずに《コーリ鋼の短刀》を誘発させるのに最適。《探索するドルイド》も、1マナが多い構成なため
《獣の探索》で公開された2枚を使いやすいです。
ここでも
《かまどの精》が採用されており、1マナ連打して手札を使い切ったあとの2ドロー+本体の4/5が強く、
今後《コーリ鋼の短刀》とセットで《かまどの精》を見るようになりそうです。緑はサイドボードのエンチャント・アーティファクト破壊が充実しており、相手の
《一時的封鎖》《コーリ鋼の短刀》を対処しやすいのが良いですね。
《受け継ぎし地の開墾》は墓地追放も兼ねており、
《救いの手》や
《アブエロの覚醒》への対策にもなります。
ジェスカイ眼魔や全知コンボを見てか、
《除霊用掃除機》が多めに採用されています。
《除霊用掃除機》は1マナなので
《コーリ鋼の短刀》の誘発もしやすく、今後サイドボードで増えていきそうです。
ジェスカイ眼魔
《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》といったドローして手札を捨てるカードで墓地の枚数を貯めて、早いターンに
《忌まわしき眼魔》を出すデッキです。
手札を捨ててデッキを回して行くので
《救いの手》は非常に使い勝手が良く、最速2ターン目に
《忌まわしき眼魔》をリアニメイトできます。
《蒸気核の学者》《逸失への恐怖》が除去された後に
《救いの手》でリアニメイトする動きも十分強力!
新採用は
《氷河の龍狩り》《光砕く者、テルサ》の2つ。どちらも手札を捨てながらドローするのでデッキ全体と相性が良く、墓地枚数を貯めながら
《プロフトの映像記憶》の+1/+1カウンターを増やすことが出来ます。
《氷河の龍狩り》は軽量除去かつドロー、さらには墓地から調和でプレイも可能と、
まさしくこのデッキが求めていたものです!《光砕く者、テルサ》は手札の入れ替えも攻撃時の誘発も強いのですが、
伝説のクリーチャーなので2体出せないことと、《救いの手》でリアニメイトしたときにタップインなので速攻が活かせないこと、ドロー性能では《蒸気核の学者》に少し劣ります。《蒸気核の学者》が警戒持ちなのが
《逸失への恐怖》《プロフトの映像記憶》の両方と相性が良く、現状は
《蒸気核の学者》4枚の方が優先されています。
これらの手札から捨てるカードが増えたことで、
《略奪するアオザメ》の強さも上がりました。
サイドボードのここらへんは
《コーリ鋼の短刀》を意識しての採用に見えます。自分が攻撃するデッキなら、
《金線の酒杯》で相手のトークンを全て破壊してダメージレースをひっくり返すアプローチが良さそうです。
エスパーピクシー
《望み無き悪夢》や
《逃げ場なし》など、戦場に出た時に誘発するエンチャントを
《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》《孤立への恐怖》で回収してアドバンテージを取っていくデッキです。
色々なエスパーピクシーのリストを見ましたが、
《陽光真珠の麒麟》が出てからは
《孤立への恐怖》が2-3枚に抑えられる傾向にありました。
しかしこのリストでは《孤立への恐怖》4枚になっており、僕も《孤立への恐怖》4枚を推奨します。理由としては
《コーリ鋼の短刀》で2/2速攻に攻撃されることが多いからで
、2/1飛行よりも2/3飛行の方がブロック時の性能が良く、このタフネス差が赤相手に勝敗を分けるからです。最近のエスパーピクシーは《食糧補充》や《ベイルマークの大主》でより中盤から後半に寄せた、アドバンテージ重視の構築が多かったです。そんな中、
今回紹介するリストは《悪意ある呪詛術士》《吞気な物漁り》でより序盤を重視した構成。《コーリ鋼の短刀》の影響により環境が高速化しており、それに対抗するためにも1マナ寄せ+
《幽霊による庇護》という構成の方が、赤いデッキには戦えると思います。
おわりに
《コーリ鋼の短刀》が強いため、環境はそれを受ける方向で動いて来ています。白のコントロールデッキは
《一時的封鎖》で盤面を一掃してから
《跳ねる春、ベーザ》で回復。
《解呪》もサイドボード候補。
《呪文貫き》はイゼット対決で
《コーリ鋼の短刀》や
《食糧補充》を打ち消すのに便利。
《脅迫戦術》や
《強迫》で手札から
《コーリ鋼の短刀》を捨てさせたり、
《削剥》《毒を選べ》といったアーティファクト除去も候補に挙がります。
使う側にしろ使われる側にしろ、《コーリ鋼の短刀》を意識することになりそうです。それではまた。