皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
先週末にヨーロッパでスタンダードの地域予選(日本におけるチャンピオンズカップファイナル)が開催されました!
日本でも今週末に
チャンピオンズカップファイナルおよびジャパンスタンダードカップが開催されますので、そのメタゲームを占うためにも上記の大会結果について分析・ご紹介していきたいと思います。
目次
▪️★ヨーロッパRCの結果分析
▪️★注目デッキ紹介
▪️終わりに
★ヨーロッパRCの結果分析
◎Ultimate Guard European Magic Series Regional Championship 3 - Bologna参加者:1,091名優勝:イゼット果敢
準優勝:イゼット果敢
3位:ディミーアミッドレンジ
4位:イゼット果敢
トップ8:ディミーアミッドレンジ
トップ8:ドメイン大主
トップ8:赤単アグロ
トップ8:赤単アグロ『タルキール:龍嵐録』の新戦力《コーリ鋼の短刀》を最大限に活かせるデッキとして見出されたイゼット果敢が12フィニッシュ!!初日のメタゲームブレイクダウンでも1位、2日目進出者も最多、そしてトップ8に3人&12フィニッシュということで、
まさに完全勝利といえるでしょう!《コーリ鋼の短刀》、恐るべし!ディミーアミッドレンジと赤単アグロは、昨年の世界選手権のときとほぼ変わらない形で勝ち残っています。
特にディミーアミッドレンジは
《コーリ鋼の短刀》こそ苦手としていますが、2番人気だったジェスカイ眼魔や各種コントロール系に相性が良く、赤アグロ系にも昔より勝率が良くなっているので(
赤単側がディミーアに対して弱くなっている)、
意外と良いチョイスだったように見えます。
プロツアー権利獲得者(上位36名。繰り下がりについては未反映)は以下の通りです。
トップ8だけ見ると0人だったジェスカイ眼魔ですが、
プロツアー獲得者の分布を見てみるとしっかり勝ち残っているのが分かりますね。大会後にFrank Karstenが公開した対戦マトリクス(相性表)を見ても、
イゼット果敢に対して有利を取れる数少ないデッキであり、上位デッキへの勝率も良いので今後も引き続きよく見ることになりそうです。
★注目デッキ紹介
◎イゼット果敢
優勝したのは、最もベーシックなリストのイゼット果敢。
《僧院の速槍》《嵐追いの才能》《精鋭射手団の目立ちたがり》《コーリ鋼の短刀》という少数精鋭のクリーチャー達を展開しつつ、軽量スペルを連打して一気に打点を上げて勝負をつけるデッキです。
そしてリソースの補充、サイドボード後のロングゲームを上で欠かせないのが
《食糧補充》。
スタンダードだけでなくレガシーやヴィンテージでも最早お馴染みの一枚となりました。このカードを
《嵐追いの才能》の2章で回収できるため、
見た目よりも粘り強く戦えるのもイゼット果敢の強みの一つです。こういうテンプレに近いリストがしっかり勝ち切るところから、
いかにこのデッキが強いか、完成しているかを実感させられますね。
2位のイゼット果敢は
《巨怪の怒り》(と《僧院の速槍》)を減らしているのが特徴的です。
《コーリ鋼の短刀》を誘発させる際に打ちづらい/打てずに誘発できずに困るパターンも多々あるので、
《巨怪の怒り》を減らして1マナ火力を多めにすることでミラーマッチを意識しているものと思われます。
そして
《食糧補充》4枚の上から
《レンの決意》も採用。
《巨怪の怒り》《僧院の速槍》の減量と合わせて、イゼット果敢というデッキをただのアグロデッキとして捉えるのではなく、意識される側=中長期戦も見据えた構成にしたいというのがその意図でしょう。
そして4位のイゼット果敢は可能な限りアグロ要素を排し、
《稲妻罠の教練者》《この町は狭すぎる》と大量の除去でメインを埋める形にしています。
《稲妻罠の教練者》と
《この町は狭すぎる》+
《嵐追いの才能》パッケージによりロングゲームを制することができるので、上記3つの中で
最も長期戦に強いリストと言えるでしょう。
他にも、ミラーマッチを見据えた
《ドレイクの孵卵者》を採用しているリストがプロツアー権利獲得していたりと、
「イゼット果敢」と言ってもリストは千差万別。今週末のチャンピオンズカップファイナルおよびジャパンスタンダードカップでも、
間違いなくメタゲームの中心はこのイゼット果敢でしょう。使う側、対策する側、どちらになるとしてもしっかりこのデッキを回して、どういうリストが良いか、どういうカードが採択されそうか考えておく必要がありそうです。◎ディミーアミッドレンジ
軽量クリーチャーを展開し、妨害しつつ
《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》の2大エースに繋ぐミッドレンジ。昨年度の世界選手権から存在するデッキで、前回のプロツアー『霊気走破』の際は下火でしたが
またメタゲームの変動により出番が回ってきました。強力なカードが多い3マナ域の生存競争を勝ち抜いた、『タルキール:龍嵐録』からの新戦力。《分派の説教者》《ティシャーナの潮縛り》を減らしてでも採用しているところから、このカードへの期待と活躍が見て取れます。さすが
《吸血鬼の夜鷲》の完全上位互換。
赤単アグロやイゼット果敢のようなアグロデッキに滅法強く、絆魂と接死で盤面を止めたのちに、最終的にはより強いクリーチャーに「相続」することによりライフを安全圏に引き上げてくれます。
ディミーア=青黒のデッキであるためアーティファクトに触ることが難しいので、イゼット果敢の
《コーリ鋼の短刀》は致命的になりがちです。そのため、
最近の黒いミッドレンジではこの《脅迫戦術》や《鋼と油の夢》のような手札破壊がメインから採用されています。墓地も追放できる
《鋼と油の夢》の方がジェスカイ眼魔には有効ですが、ディミーアミッドレンジ自体がジェスカイ眼魔に相性が良いため、後半に引いてもサイクリングで有効牌に変えられる
《脅迫戦術》が選ばれています。
エリア予選でも相当数のプレイヤーがディミーアミッドレンジで権利を獲得していましたので、チャンピオンズカップファイナルに出場される方はしっかり意識して望む必要がありそうです。◎ジェスカイ眼魔
プロツアー『霊気走破』での原根くんの活躍も記憶に新しい、ジェスカイ眼魔。
《忌まわしき眼魔》を
《救いの手》でリアニメイトして一気に盤面を作る動きと、
《プロフトの映像記憶》を活かした粘り強いビートダウンという二軸を持つデッキで、赤系アグロやセルフバウンス系に対して強いデッキとして人気を博しています。
『タルキール:龍嵐録』から多数の新戦力が入り、デッキも洗練されました。《氷河の龍狩り》で除去能力が上がりましたし、
《光砕く者、テルサ》は
《蒸気核の学者》に依存していたルーティング能力そしてリアニメイト先として大活躍。
《プロフトの映像記憶》とも相性バツグンです。
これらの加入によりディスカード手段が増えた&安定したので、
《略奪するアオザメ》のサイズアップも見込めるようになりましたし、
《略奪するアオザメ》《光砕く者、テルサ》と赤いクリーチャーが増えたため
《幽霊による庇護》の定着率も大幅アップしています。青いクリーチャーにつけて
《石術の連射》食らうのは避けたいですからね。
イゼット果敢(《コーリ鋼の短刀》)対策として注目を集めている《真昼の決闘》。基本的にはドメインやアゾリウスアーティファクトのような早いデッキを苦手とするデッキが採用するカードですが、このジェスカイ眼魔にも搭載されています。
自分もそれなりに細かい動きをするデッキではありますが、
《真昼の決闘》で相手の動きが鈍ればカードパワー差で有利に立つことができるということでしょう。
有利なマッチアップ相手でも油断せず、専用サイドを割いたことが好成績の秘訣かもしれません。終わりに
『タルキール:龍嵐録』での新戦力、
《コーリ鋼の短刀》の強さが証明された先週末でした。成績を見る限り、その強さを疑うことは難しく、今週末も間違いなくトップメタとなることでしょう。
果たしてヨーロッパに続いてイゼット果敢が戴冠するのか、それともイゼット果敢に有利とされているジェスカイ眼魔やオルゾフセルフバウンスといったデッキが逆襲するのか。
国内のトッププレイヤーたちの叡智に期待しましょう!僕自身はチャンピオンズカップファイナルには参加せずに、日本レガシー選手権・春とジャパンスタンダードカップに参加予定です。特にレガシーは久しぶりのプレイとなるので、勝敗を気にしすぎずエンジョイしたいなと思ってます。会場でお会いする方、対戦する方、どうぞよろしく!
それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!