先週末、アメリカのヒューストンで地域チャンピオンシップが開催されました。
参加者1045名の大会結果から、モダンの主流デッキを分析していきます!
目次
▪️参考情報
▪️ジェスカイブリンク
▪️ボロスエネルギー
▪️イゼット果敢
▪️アミュレットタイタン
▪️イゼット親和
▪️おわりに
参考情報
全デッキリスト(MTG-Melee)DAY1配信(Youtube)DAY2配信(Youtube)メタゲーム
DAY1メタゲーム
DAY2メタゲーム
各デッキごとの勝率(MTGdecks.net)ジェスカイブリンク
1045名の大会を優勝したのはジェスカイブリンク!《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》の能力により、
《量子の謎かけ屋》の戦場に出た時の効果を再利用しアドバンテージを獲得していくデッキです。
《量子の謎かけ屋》は消耗戦の後のドロー能力が強く、2マナでワープした後に
《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》でブリンクにより、ドローしながら4/6飛行が場に残ります!
《量子の謎かけ屋》についての解説は、前回の記事も参考にどうぞ!
《孤独》は想起に手札を要求しますが、クリーチャーを確実に除去。
《量子の謎かけ屋》が流行している今だからこそ、相手の《量子の謎かけ屋》を除去できる《孤独》も需要が上がって来ています。もちろん
《儚い存在》と
《孤独》の組み合わせも強く、最大で相手のクリーチャー3体を除去しつつ3/2絆魂が場に残ります!
《記憶への放逐》は現在のモダンのメタゲームに合致したカードであり、
《ゴブリンの放火砲》を打ち消したり、相手の
《ウルザの物語》の2章や3章の能力を打ち消したり、
《偉大なる統一者、アトラクサ》の誘発を打ち消したりと、何かと便利です。
長期戦をするデッキは
《記憶への放逐》がメインに入っていないと、どうしても
《約束された終末、エムラクール》1枚で負けやすいので、
《記憶への放逐》がエルドラージ系に対しての勝率を担保してくれます。自分の
《孤独》を想起でプレイしたときに生贄の誘発型能力を打ち消して3/2絆魂を残したり、
《量子の謎かけ屋》のワープの誘発型能力を打ち消して4/6飛行を飛行を残したり、さらには
《溌剌の牧羊犬、フィリア》のターン終了時に戻ってくる誘発型能力を打ち消す事で相手のパーマネントを追放したりと、
使える範囲が幅広い!《記憶への放逐》の器用さが、青白ブリンク系デッキの基盤になっています。《量子の謎かけ屋》により強化された青白ブリンク系デッキ。エスパー軸で
《ベイルマークの大主》を使うタイプもありますが、
今回紹介するのは上記3つのために赤を足しています。赤を使う一番の理由が《火の怒りのタイタン、フレージ》。単体で強い上にコンボが複数あり、
《儚い存在》すれば3点ダメージを2回、
《記憶への放逐》で生贄の誘発型能力を打ち消せば4マナで場にフレージが残ります。
そして《鏡割りの寓話》。2章効果でフレージの脱出のために墓地枚数が増えますし、
《溌剌の牧羊犬、フィリア》でブリンクする事でゴブリン・シャーマントークンを増やす事ができます。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》もモダンを代表するクリーチャーで、1ターン目のプレッシャーとして最上級。
こういった構成のデッキに対して
サイド後に除去を何枚残すかが難しく、例えば
《致命的な一押し》《虹色の終焉》などはラガバンに対しては必要ですが
《量子の謎かけ屋》に対しては無力で、ラガバンをサイドアウトされると除去が腐りやすく、サイド後の読み合いが発生します。
こういった場合、ラガバンを使う側の方が主導権を握りやすい。《栄光の闘技場》はもちろんフレージ用ですが、このデッキの場合は
《孤独》《量子の謎かけ屋》が速攻で攻撃できるのも十分強いです。
最近の《ウルザの物語》の使用頻度が増えて来ており、除去もそれに合わせた選択になっています。《冥途灯りの行進》は除去対象より1マナ多くかかるものの範囲の広い除去で、
《ウルザの物語》を1マナで除去するのに便利。
《空の怒り》は
《ウルザの物語》をまとめて破壊したり、低コストで複数展開するボロスエネルギーのようなデッキに強いです。
おすすめなのが《神秘の論争》で、相手の
《時を解す者、テフェリー》や
《量子の謎かけ屋》を打ち消すのに最適。
《黒曜石の焦がし口》は同じ土地対策の
《白蘭の幻影》よりコストは重いものの、より効果が強力で、
《儚い存在》《溌剌の牧羊犬、フィリア》のブリンク対象としても優れています。
《白蘭の幻影》はベルチャーに強い側面があるので、今回はエルドラージ対策を優先した形でしょう。
勝率58%と、この大会で最も勝率が高かったのがジェスカイブリンク。今後増えていきそうなデッキなので要注目です!
ボロスエネルギー
過去にも何度も紹介して来た、モダンの定番デッキのボロスエネルギー。
モダンホライゾンの優秀なクリーチャー達を中心に攻めるデッキで、すべてが除去必須と言えるほど強く、それぞれの相互作用によりライフ回復と盤面展開を得意とします。
★過去のボロスエネルギー記事はこちらコンボに対して勝率が伸び悩む事から少し減っていましたが、
デッキ自体は変わらず強力で、今回も準優勝でした。3マナ域は《鏡割りの寓話》か《歴戦の紅蓮術士》かと言われていたのは過去の話で、今は《歴戦の紅蓮術士》が最優先されています。理由としては手札を使い切ったあとの2ドローが強い事と、1ターン目
《オセロットの群れ》スタートで3ターン目に
《歴戦の紅蓮術士》でトークン生成したときに昇殿を達成しやすく、圧倒的なクリーチャー数を並べられるからです。
ボロスエネルギーは固定パーツが多く完成されたデッキなので、
細部をメタゲームに対してどう合わせるかが重要になってきます。
今回紹介するリストは土地への対策が強めで、メイン
《血染めの月》とサイドに
《黒曜石の焦がし口》と特殊地形対策が多め。
エスパー御霊やアミュレットタイタンなど
《血染めの月》が効く相手が一定数いるので、
今はメイン《血染めの月》もアリ!イゼット果敢
《僧院の速槍》《精鋭射手団の目立ちたがり》そして
《コーリ鋼の短刀》のモンク・トークンと、果敢クリーチャーを軸にして高速でライフを削り切るアグロデッキです。
特に0マナ呪文を複数引いたときの回りが圧倒的で、除去の無い相手に対しては3ターンや4ターンでライフを20点削り切ります!《ドラゴンの怒りの媒介者》は果敢持ちではないものの諜報によりドローの質を上げて、昂揚達成で3点クロック。昂揚で必ず攻撃しなければ行けないので、昂揚させたくない時は第2メインフェイズで呪文を唱える事もあります。
特にボロスエネルギーはタフネス1が多く、
《溶岩の投げ矢》は1点でも便利な除去。フラッシュバック含めて2回の呪文なので果敢や疾風を誘発させやすい!
墓地に何もない状態でも
《ドラゴンの怒りの媒介者》で
《溶岩の投げ矢》を諜報できれば、果敢により一気にダメージが増えます。
《ミシュラのガラクタ》《変異原性の成長》は貴重な0マナアクション。安易に使うよりは果敢クリーチャーや
《コーリ鋼の短刀》と組み合わせた方が強く、
土地が2枚ある状態なら《ミシュラのガラクタ》を手札に持っておいた方が強い事があるのは覚えておきましょう。
全体的に軽いデッキなので手札消費が激しいですが、
そこを補うのが《表現の反復》で、果敢を誘発させながら手札を補充してくれます。
アグロデッキに対する軽量除去は《致命的な一押し》《虹色の終焉》《電気放出》が一般的ですが、そこを乗り越えるのが《濁浪の執政》。意外と除去するのが難しく、サイド後3-4ターン目に出した
《濁浪の執政》でゲームが決まる事も多いです。メインは呪文複数回のプランに合っていませんが、サイドボード後に強いクリーチャーです。
アミュレットタイタン
今回メタゲーム上で2番手で、2日目進出率も高く、勝率54%と高い勝率を出したのがアミュレットタイタン。土地をアンタップさせる効果を持つ
《精力の護符》《洞窟探検》を軸にした、土地コンボデッキです。
《精力の護符》《洞窟探検》がある場なら、
《シミックの成長室》などのお帰りランドがアンタップするのでマナ加速になり、ここに
《樹上の草食獣》や
《探検》の追加セットランドが加わる事で爆発的なマナ加速をします。
《精力の護符》を2枚引いたときの展開は圧倒的であり、最速2ターン目に《原始のタイタン》プレイすることも可能!最近は2マナ域を
《探検》型と
《邪悪鳴らし》型とで分かれていたのですが、
今回紹介するのは《探検》型。《探検》の方が土地を伸ばすのに適しており、
《風景の変容》コンボでの勝利が目指しやすいです。
《邪悪鳴らし》は
《原始のタイタン》をより探しやすくなっていますが、切削により
《召喚士の契約》などの重要なパーツが落ちてしまうと
《風景の変容》コンボを狙いにくくなる欠点があります。
僕個人としては《風景の変容》で勝ちやすい《探検》型を推しますが、もう少しテストすると考えが変わるかも知れません。デッキリストが精査されて来て、
土地30枚も厳選されたものになって来ました。
《血染めの月》を考えると
《森》は3枚欲しい、
《マイコシンスの庭》は意外と起動しないから不要、お帰りランドは合計7の方が安定するけど削るスロットが無いなど、
デッキの理解度が上がるほど土地の悩みも増えてきます。《事件現場の分析者》《変容する森林》での無限コンボ発見により、現在のアミュレットタイタンは《風景の変容》が主軸になっています。1.土地4枚と《精力の護符》《洞窟探検》のどちらか1枚を揃えて、そこから《風景の変容》を唱えます。
2.《風景の変容》でのサーチは《睡蓮の原野》2枚と《シミックの成長室》《トレイリア西部》で、全てアンタップするので計9マナ出しつつ、《シミックの成長室》の効果で《トレイリア西部》を手札に、土地は全て生贄。
3.《トレイリア西部》変成で《召喚士の契約》から、《事件現場の分析者》をサーチして起動。最初の土地4枚と《睡蓮の原野》2枚と《シミックの成長室》《トレイリア西部》が戦場に戻り、13マナ出ます。《シミックの成長室》の効果で《トレイリア西部》を手札に。
4.再び《トレイリア西部》変成で《召喚士の契約》から、今度は《原始のタイタン》をプレイ。残り4マナ。
5.《原始のタイタン》の効果で《変容する森林》《残響する深淵》をサーチして、《残響する深淵》で墓地の《睡蓮の原野》をコピー。両方アンタップするので4マナ追加で、合計8マナ。《変容する森林》で墓地の《事件現場の分析者》をコピーして、能力起動。
6.これで《変容する森林》《事件現場の分析者》が無限ループする状況になり、無限マナが出ます。あとはもう一度《トレイリア西部》を変成して《天上都市、大田原》をサーチして《原始のタイタン》を出し直して、《鏡の池》ループにより無限タイタン、最終的には無限タイタンから《ハンウィアーの要塞》で速攻を付与して勝利します。
勝率、デッキ使用者数ともに無視できないほど人気のデッキになってきたアミュレットタイタン。独自のスキルを必要として、かなり練習が必要なデッキですが、理解しておいた方が良いです。難しいからと敬遠せずに、一度回してみて下さい!
イゼット親和
勝率53%と、3番目の勝ちデッキだったのが親和。《ピナクルの特使》ワープから0マナアーティファクト連打によりトークン展開、そこから1、2ターン目に
《物読み》《河童の砲手》と、高速で攻めるアグロデッキです。このリストでは
0マナアーティファクトを合計20枚採用し、よりブン回りを重視しています。
そのぶん
《ピナクルの特使》《河童の砲手》を探しに行くマリガン、いわゆるハードマリガンも増えるとは思いますが、
今のモダンにおいて1ターン目《ピナクルの特使》《河童の砲手》は全てのデッキを粉砕するほどの力があります。ブン回り大事。《武器製造》から0マナアーティファクト展開で弾薬トークンを大量に出し、
《仕組まれた爆薬》X=0で弾薬トークンを破壊して大ダメージで勝利する、バーンのような勝ち方もできます。
《金属の叱責》は通常より多めのメイン4枚。1-2ターン目に相手にやりたいことをやらせないのと、自分の
《河童の砲手》完走のために
《金属の叱責》は大事で、打ち消しで1ターンを稼ぎます。
フェッチランドと《轟音の滝》での諜報よりも、《焦熱島嶼域》4枚が優先されています。後半余ったマナの使い道が少ないデッキなので、1ドローに変換できる土地の方がフェッチ諜報よりも即効性があって良さそう。
おわりに
モダンの主要なデッキを紹介していきました。
しばらくは、青白ブリンク系、アミュレットタイタン、親和の3つに人気が集中しそう。アミュレットタイタンは難しいですが、対戦したときに混乱しないためにも
動きを理解しておく事をおすすめします!
それではまた。