皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
『ストリクスヘイヴンの秘密』発売から間もないですが、この記事が公開されてから数時間後には
プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』が開幕します!
・プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』(公式イベントカバレージ)直近2年間は僕自身がPT参加者だった=書く余裕がなかったのですが、今回は権利がないので、PT直前記事としてドラフト・スタンダードの環境をそれぞれ簡単に解説していきたいと思います!
目次
▪️■ドラフト
▪️■スタンダード
▪️■終わりに
■ドラフト
◎環境について
『ストリクスヘイヴンの秘密』は明確なアーキタイプ環境で、
クアンドリクス(緑青)・プリズマリ(青赤)・ロアホールド(赤白)・シルバークイル(白黒)・ウィザーブルーム(黒緑)の5つのアーキタイプの椅子取りゲームが基本となります。
※収斂=多色もアーキタイプとしては存在しますが、メインアーキタイプにタッチして使う形が多いので一旦除外して考えます。8人で5アーキタイプを取り合う、つまり8人でキレイに棲み分けたとしても
「2・2・2・1・1」となるので、
いかに良いポジション=卓1になれるかが成否の鍵となります。
うまく卓1になれたなら、遅い巡目で多色のレア/アンコモンが取りやすくなり、強力なデッキが完成しやすくなりますからね。
また、アーキタイプが少ないということは
「色変えが難しい」ということでもあります。
2色の組み合わせ10通りが許される環境であれば、「単色ピックから流れに合わせて2色目を決める」ということも頻出ですし容易ですが、
今回はかなりの決断力を求められるからです。例えば1-1~1-3まで白いレア・アンコモンをピックしたところ、流れが悪く、その後に青いカードが複数流れてきたとしましょう。その場合青白がアーキタイプとして成立しないので、
「上家と被っていることを覚悟で白黒か白赤を突き進む」か「すべてを捨てて緑青か青赤に方向転換する」という極端な2択を迫られるのです。
プロツアーでは、トッププレイヤーたちがこのような葛藤とどう向き合うかに注目して見てみると良いでしょう。最序盤の強カードを信じて続行するのか、それとも流れを掴んで一気に色変えするのか。ちなみに余談ですが、僕はこの環境で青黒に負けたことがあります。こういった、大学ではない組み合わせに勝機を見出せるのかも注目。
◎各アーキタイプの簡易解説
★クアンドリクス
キーワードは
「増分」。マナカーブ通り動いたときのバリューの高さが凄く、またマナコスト「X」を活かした可変的なマナコストも「増分」を活かすのに欠かせません。
基本はミッドレンジ~ランプ系の構成。盤面を固めつつ、高マナ域のカードやレアリティの高いカードで戦うケースが多くなります。色マナサポートも多数あるので、「収斂」のカードや他の色の強カードや除去をタッチするパターンが多いのも特徴。
◎コモン、アンコモンの紹介
《有毒イモリ》は大型生物への牽制としても優秀なマナクリーチャー。
《教科書の図表作成者》は「諜報」で安定させつつ、あっという間に4/7や5/8まで育ってくれます。
《プテラフラクティルス》は「増分」を誘発させつつ、どのマナ域で出してもそれなりに活躍してくれます。後半は頼れるフィニッシャーになるのも嬉しい。
《環境科学者》は環境屈指のアンコモン。安定感抜群で全ての緑のデッキにほしいですが、特に多色化しやすいクアンドリクスだとその価値は上がります。
《実体操作する魔道士》はいわゆる大クラゲ。「X」が多いクアンドリクスであれば、時間を稼ぎつつコツコツ殴ることも可能。
《フラクタルの世話人》は少しハードルが高いですが、上手く使えば毎ターン3/3トークンを量産。
《接点の検査者》や
《加法的進化》でサポートできればなお良し。
★プリズマリ
キーワードは
「演目」。インスタント・ソーサリー呪文を唱えるたびに誘発する能力で、5マナ以上支払っているとボーナスがあります。「果敢」と違ってエンチャントやアーティファクトでは誘発しないこと、「マナ総量」ではなく実際に払ったマナコストなことに注意。
基本はミッドレンジ~コントロール系の構成。スペルを活かしたデッキになりますが、カウンターやドローを活かしたコントロールデッキもあれば、「演目」を生かして殴るアグロ~ミッドレンジのタイプもあるため、チグハグな形にならないよう、完成形を意識してピックする必要があります。
◎コモン、アンコモンの紹介
《水の媒介者》は優秀なマナクリーチャー。タフネス3で最低限の壁をこなしつつ、重いスペル&タッチカラーのスペルに繋いでくれます。
《ぶちかます芸術家》は「演目」で一気に育つメインアタッカーです。除去でブロッカーを排除しつつ、
《ひらめきの追求》で守ってイージーウィン!
《幻視家の舞》は安価なフィニッシャー。7マナと重い分、2マナで捨ててドロー操作もできるので実質分割カードです。こういう使い道が複数あるカードは事故りづらくて嬉しい。
《発散する方程式》はコントロール型の実質フィニッシャー。できればX=3以上でプレイしたいところ。除去やドローを3枚以上回収できれば、そのゲームはほぼ勝ちです。
《雷鳴太鼓の独演者》は優秀な2マナ域。「演目」での3点がバカにならず、気付けば相手のライフが一ケタ、なんてことも多発します。
《ストレス夢》はプリズマリ屈指の強力アンコモン。1-3手目ぐらいで消えることがほとんどですし、レアより優先してピックされることも。
★ロアホールド
キーワードは
「カードがあなたの墓地を離れていた場合」のボーナスで、強化やコスト軽減、誘発型能力でのドローなど多岐にわたります。墓地追放、墓地回収、フラッシュバックなど様々な角度で誘発するので、シナジーを見逃さないように。
基本はミッドレンジ。他の環境で赤白(ボロス)といえばアグロのイメージが強いですが、今回は相手とがっぷり四つで組み合って戦う正統派ミッドレンジで戦うケースが多いです。優秀なクリーチャー&除去で戦いつつ、フラッシュバックでアドバンテージを取って相手に差をつけて勝利します。
◎コモン、アンコモンの紹介
《粗石熾し》は継続的なダメージ源であり、墓地追放によるボーナスも誘発してくれて、マナ加速にETBルーティングと1粒で4度美味しい。ロアホールドなら1枚必須。
《空昇る塵語り》は歴代でも屈指の5マナ域フライヤー。5/3/4飛行と優秀なスタッツに加えて、+1/+1カウンターでの強化と、継続的な墓地追放と至れり尽くせり。墓地追放は相手のフラッシュバックや墓地回収を防いで良し、自身の墓地を追放してボーナスを誘発させても良し。
《暑さに萎れる》は優秀な基本除去。ボーナスにより2マナで打てたときのテンポも素晴らしいですし、通常プレイでも4マナ5点と悪くない。
《駐屯地を掘り起こす者》はほぼロアホールド専用のシステムクリーチャー。
《粗石熾し》を活かして、プレイしたターンから継続的に2/2量産体制に入りましょう。
《一次調査》はリアニメイト自体は3マナ以下と寂しいですが、その真価は継続的なドロー能力。他のカードと組み合わせて、毎ターン追加ドローを供給する神カード。
《熟練の巻物職人》は
《瞬唱の魔道士》の亜種ですが、珍しくプレイ自体は次のターンでOKと親切設計。本体の戦闘性能も高くて強い!
★シルバークイル
キーワードは
「即妙」。「英雄的」と異なり、自分だけでなく相手のクリーチャーでも誘発しますので、強化スペルを打つよりも除去を打ちながら殴るのがシンプルかつ強力です。
基本はアグロ。1~3マナでクリーチャーを展開しつつ、スペルを適度に打って「即妙」を誘発させながら攻撃していくのが基本的なスタイルとなります。低マナから細かいアクションをしていく都合上、他のアーキタイプより少し色マナの要求値が高いのが難点ですが、回った時の破壊力は環境トップクラス。
◎コモン、アンコモンの紹介
《精鋭の迎撃手》は環境最高の1マナクリーチャー。暇な時に「即妙」を誘発させつつダメージを通せる
《スレイベンの検査官》です。ロアホールドで使っても当然強いですが、シルバークイルで使うのが最も強く、何枚でもデッキに入ります。
クリーチャーを展開してからプレイするのにちょうど良いのが
《才気の代償》。リソース補充と盤面強化をしながら「即妙」を誘発させてくれます。対戦相手への2点火力として使えるのも忘れずに。
《墨獣のマスコット》は継続的なダメージとドロー操作を両立してくれます。
《発掘現場の備品一覧》や
《キリアンの自信》を落とせたときの幸福感たるや。
《羽ペン剣の桂冠詩人》はシルバークイルでこそ真価を発揮する1枚。
《精鋭の迎撃手》もそうでしたが、「準備済」クリーチャーでクリーチャー枠と「即妙」用のスペル枠を兼ねるのがポイント。
《講義する侮蔑魔道士》は見たまんまですね。最序盤に出して育てていきましょう。
《詮索好きな雑用係》はセット内でも最上位に位置するアンコモンの1枚。ブロックされない+追加ドローにより一瞬でゲームを壊す性能。
★ウィザーブルーム
キーワードは
「注入」。最大値は高いものの、ライフを得ないと並~並以下のカードが多いので、継続的にライフ回復できる構造が求められています。
基本はアグロ~ミッドレンジ。ライフゲインが多いので、そのライフ差を活かしてダメージレースを仕掛けていくのが有効です。素直にピックするとクリーチャー多め+除去の構成になりやすいので、除去の多いデッキ相手を意識してアドバンテージを稼げるカードをピックすることも忘れずに。
◎コモン、アンコモンの紹介
ウィザーブルームは「ライフゲイン」と「注入」の2種のクリーチャーを戦場に揃えて戦いたいので、アドバンテージを取りつつ盤面を再構築できる
《墓場からの引き戻し》はベストマッチ。オマケの2点ゲインも「注入」に活かせます。
《店主の災難》で殴りつつ「注入」を誘発させるのがよくあるパターン。タフネスは低いので、除去やコンバットトリックでサポートしたいところ。
最も重要なのが
《泥水のルマレット》。これを2ターン目に出しつつ、3ターン目の
《害獣のマスコット》に繋ぐのがウィザーブルームの黄金パターンです。
この環境の
《ネクラタル》《叫び大口》枠が
《毒殺者の弟子》。少しテキストが分かりづらいですが、解決時にライフゲインしていれば良いので、
《泥水のルマレット》でのETBライフゲインだけで「注入」を満たしてくれます。
《荊棘拳の打撃者》はウィザーブルームをアグロたらしめてくれる1枚。護法のおかげで生存してターンが帰ってきやすいので、+1/+0とトランプル付与で一気に攻勢を仕掛けましょう。
ウィザーブルームの必殺技が
《樹根操作》。「1点ゲイン」が大量に誘発するので、
《害獣のマスコット》が凄いサイズに膨れ上がってリーサルダメージを出してくれます。
★収斂
緑色のデッキ(主にクアンドリクス)が使用するパターンと、ロアホールドやプリズマリのようなミッドレンジが多色土地や「宝物」トークンを使って使用するパターンの主に2つ。
2色以下だとかなりバリューが下がるカードばかりなので、3色以上が安定して出せる構成で使うことをオススメします。
◎コモン、アンコモンの紹介
《怨恨のアルカイック》は3色=5マナ5/5到達・トランプルで出せるかどうかをラインで考えましょう。コモンとしては優秀なスタッツなので、安く取れれば「収斂」系のデッキはポジションが空いていると言えそうです。
《隔離するアルカイック》は
《虹色の終焉》内蔵クリーチャー。起動型能力は相手のフラッシュバックなどを防ぐだけでなく、自分の強いカード(確定除去など)を戻すこともできます。
《秘儀の前兆》は適正ターンに打てればほぼ勝ちの1枚。大量手札破壊は遅くなればなるほど価値が落ちるので、
《水の媒介者》や
《水薬師の収集品》から4ターン目にX=4以上で打てるようにデッキを構築したいところ。
■スタンダード
記事を執筆している最中に、プロツアーのメタゲームブレイクダウンが公開されたのでご紹介&簡単に解説します。
まだデッキリスト自体は出ていないので、あくまで雑感程度です。
・プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』メタゲームブレイクダウン(英語)元々強かったイゼット系デッキ。そこに『ストリクスヘイヴンの秘密』の新カードたちが加入した結果、
かなりイゼット系に偏ったメタゲームになりました。
最も影響が大きいのは、帰ってきた《表現の反復》こと《没頭》。「インスタントとソーサリーを1枚以上墓地に落とす」という条件はあるものの、スタンダードには
《選択》《噴出の稲妻》《手練》《ブーメランの基礎》と簡単に満たすことができるので、使わない理由を探すほうが難しいですね。
早いマッチアップでは
《食糧補充》が重く感じることも多かったので、その枠の差し替え(もしくは追加)となるのは自然な流れでしょう。
《没頭》だけではありません。クリーチャーとして新戦力の
《彩嵐の雄馬》が入ったほか、軽量スペル枠では
《プリズマリの魔除け》と
《傷残す批評》が新加入。
ここまで全部イゼットカラーのカードです。そりゃこうなりますわな。特に
《プリズマリの魔除け》《傷残す批評》はイゼット・スペレメンタルを強化しています。元々
《愛着を捨てる》を使っていたスロットが強化された&増えたので、
《かまどの精》《渦泥の蟹》の安定感が一気に向上しました。
《彩嵐の雄馬》は果敢だけでなくスペレメンタルにも採用されているはずです。
《噴出の稲妻》でコピーを生成して一気にライフを詰める性能が上がりましたし、スペレメンタルにとっては墓地に依存しない、プレイアブルな「エレメンタル」ですからね。
ちなみにイゼット果敢の1マナ域として定着していた《神出鬼没のカワウソ》は、最近数を減らしていたのをご存知でしょうか。イゼット系のミラーマッチで最も弱いカードであり、サイドアウトする確率が元々高かったので、このメタゲームでは減るのも納得です。
さらに
《プリズマリの魔除け》の登場が致命的です。
《神出鬼没のカワウソ》の強みの一つに「
《嵐追いの才能》と合わせて111のアクションがしやすいこと」があったのですが、そのブン回りが
《プリズマリの魔除け》の「1点×2」のモードでキレイに返されるようになってしまいました。
《神出鬼没のカワウソ》のメイン採用が減り、代わりに
《彩嵐の雄馬》や《渦泥の蟹》をメインに採用するイゼット果敢が増えてきています。
《神出鬼没のカワウソ》(+
《激しき乗りこなし》)がイゼット果敢から抜けてきたことにより、相対的にポジションが上がったのが2番手に付けている
緑単上陸。
盤面を作っても
《神出鬼没のカワウソ》が止まらずに負けることが多かったので、今のリストの変遷は緑単上陸に取って追い風になっています。
上記以外のデッキ&新カードに目を向けてみると、
《観念の名誉教授》はイゼット講義やディミーア可逆者、ジェスカイコントロールやスゥルタイコントロールあたりに居場所を見出していそうな気がします。サイドボードの方が採用されているのも、それを表しているように見えます。
《共鳴するリュート》はジェスカイコントロールや4色コントロールですね。
個人的注目カードだった《発見の石板》も、思ったより採用されていてビックリしました。果たしてどんなデッキで活躍するのか楽しみです。
■終わりに
ということで久しぶりにプロツアー直前特集をお届けしました。プロツアーの権利があって書けないのが理想ではありますが、そうでない場合はできる限りこういった記事をお届けしていきたいなと思っています。
今回の記事が、プロツアー観戦の予習やお供として皆さんの役に立てば嬉しいです。
みんなでプロツアーを見て楽しみましょう!日本勢頑張れ!それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!