「シティリーグ シーズン1」も終わり、従来のレギュレーションでの大きなイベントは終了しました。11月29日からは、スタンダードレギュレーションから「A」マークのカードが使用不可能になりました。
それ以外にも、同日に発売された「ソード&シールド」シリーズや、スタン落ちと同時に施行される“先行1ターン目のサポートの使用不可”といった変更点もあり、12月以降はこれまでのポケモンカードからゲーム性が大きく変化することが予想されます。
今回の記事では、各変更点に着目しつつゲームにどういった変化が起きるのか改めて確認していきます。
スタン落ちによるマーク「A」の使用不可
11月29日からのルール変更により【スターターセット伝説「ソルガレオGX ルナアーラGX」】より前に登場したカードがスタン落ち(スタンダードレギュレーションで使用不可)しました。新レギュレーション上でデッキを組む際に注意するべきポイントは“再録の有無に関わらず初登場したタイミング”によってA~Dのマークが割り振られているということでしょう。
例えば、最近のパックで収録されるようになったトレーナーズレア。このレアリティは過去に登場したトレーナーズが再録されていますが、その一部をよく見るとマークが「A」のままとなっており、同じ弾に収録されている新規カードとは違う分類になっています。
今後のスタンダードレギュレーションのデッキで使用できるカードは、マークが「B」~「C」の「サン&ムーン」シリーズのカードと、今後登場するマーク「D」の「ソード&シールド」シリーズのカードです。このスタン落ちにより、今までデッキに当たり前のように採用されていたカードが数多く使えなくなります。
ポケモンをサーチしたりデッキを掘り進める効果で潤滑油の役割だったカードもスタン落ちするものが多いです。しかし、その代わりと言わんばかりに「ソード&シールド」シリーズでは「サン&ムーン」シリーズには無かった新規トレーナーズが登場します。
「ソード&シールド」シリーズにて新たに登場するサーチカード。これまで 《タイマーボール》 が2枚を不確定サーチだったのに対して、こちらは1枚を確実にサーチ可能になり、考え方によっては上位互換とも言えます。 《タイマーボール》 のコイントスで苦い思いをした人も多いのではないでしょうか。 手札が6枚になるように引けるという、グッズとしては破格の性能なカード。後述する先行サポート権の廃止の影響もあり、今後多くのデッキに採用されそうです。また、グッズによる手札補充が可能になったことで、ドロー効果以外の効果を持つサポートの実用性も高まりました。
GXに続く“ポケモンV”の登場
ポケモンGXの後続として「ソード&シールド」シリーズではポケモンVと名付けられた種類のポケモンが登場します。GXポケモンとの大きな違いとしては……
・名称参照がポケモンVになる(ポケモンGXを対象にする効果を受けない&受けられない)
以上の3点となります。きぜつした際にサイドを2枚取られる点はGXポケモンと同じです。単体のスペックが高めに設定されている理由は、GX技を持たないというデメリットを補うためでしょう。
レギュレーション変更直後に重要となる相違点は、3つ目の名称参照が異なることです。ポケモンVはポケモンGXとして扱われないため 《グレートキャッチャー》 や 《グレートポーション》 など、ポケモンGXを対象にするカードの影響を受けません。ポケモンVは、こういったカードを使われる側であれば効果を避けられるメリットを、使う側であれば採用カードを狭めるデメリットを持っています。 デメリットもある中で、この名称違いにはもう1つ明確なメリットがあります。それは「ポケモンGX・EX」をのぞく」と記載のあるテキストの対象としてポケモンVを指定できる点です。 《マルマインGX》 や 《ホミカ》 は、ポケモンVの登場により新しい使い道が発見される可能性があります。 そして、ポケモンVから進化するポケモンVMAXも登場します。こちらは、通常の進化ポケモンと同じように場のポケモンに重ねて場に出すことができ、300以上の大量のHPを持つ代わりにきぜつした際にサイドを3枚取られてしまうポケモンです。ポケモンVMAXの登場により技に求められるダメージが総じて高くなり、これまで強いとされていた技の評価も変わってくることでしょう。
先行1ターン目のサポート使用不可
今回のルール変更では、スタン落ちによる使用可能カードの変更に加え“先行1ターン目のプレイヤーはサポートが使用できない”というルールが追加されます。
この変更により“先行1ターン目に手札を大量消費してからドローサポートで補充”という動きができなくなり、これまで通説とされていた「先行の方が有利」が覆る可能性が十分にあります。サポートも打てず技も使えない先行に対して、後攻はそのどちらも使うことができるため、ルール変更後はあえて後攻を選ぶという戦略も出てくることでしょう。
その影響で今後価値が高まるカードとして 《ジラーチ》 や 《デデンネGX》 など、特性で手札を増やせるポケモンたちが挙げられます。 《ロトムじてんしゃ》 というサポート権を必要としないドローソースが登場しましたが、これらはポケモンをサーチする効果で山札から持ってこれるという利点があります。 後攻の場合はサポートを使えば解決しますが、望む望まないに関わらず先行になった場合のため、デッキの中にサポート以外の手札補充手段を用意しておく必要があるでしょう。
その他に評価が上がるカードは 《ズガドーンGX》 のように後攻で強力な技を使えるポケモンです。これまで利点とされていた「後攻でも1ターン目から行動できる」という点に加え、今後は後攻はサポートを使えるという明確な強みが増加します。これらのデッキを先行の不利を補う構築にすることで、先行でもしっかり動きつつ、後攻ではアドバンテージをさらに伸ばす戦い方ができます。 先行がサポートを使えないためか「ソード&シールド」シリーズで登場するサポートは従来のものより強力に設計されていることが伺えます。 《博士の研究》 はエクストラ環境で使われ続けている 《プラターヌ博士》 の互換カード。相手の手札に干渉する 《マリィ》 は自身のドロー枚数差により 《ジャッジマン》 の完全上位互換カードです。「ソード&シールド」シリーズでも、「サン&ムーン」シリーズにおける 《シロナ》 や 《グズマ》 のように、今後のデッキ構築の基盤となる強力なサポートが続々登場するでしょう。 これまでサポートを使えないターンを作ることはサポート権を無駄にして損をしていると言われていましたが、今後はそのディスアドバンテージがより大きなものになってきます。もし先行でサポートを撃てず、その次のターンでもサポートを使えなかった……などという試合展開では、相手とのアドバンテージ差は火を見るよりも明らか。「ソード&シールド」シリーズでは、毎ターンしっかりと手札補充を行い、しっかりとサポートを使いながらゲームを進められる安定性の高いデッキを選択したいです。
12月に起きる変化は要注目
スタンダードで使用できるカードプールの大幅変更、先行のサポート権の廃止、ポケモンV、VMAXの登場による予想ダメージと想定HPの変化など、今回のルール変更は戦略的な影響を与える要素を多分に含んでいます。昨シーズンに例えるのであれば、初めて「タッグボルト」でTAG TEAM GXが登場したタイミングに近い……いやそれ以上のインパクトを与える環境変化となるはずです。
そして、12月下旬には「チャンピオンズリーグ2020 愛知」も開催されるということもあり、新たなルールとカードプールの中でどんなデッキが強いのか、プレイヤーの間で研究が進められることでしょう。
右も左もわからない環境で新しい発見をするというのもTCGの醍醐味のひとつ。今回の記事でお伝えしたことは、ルール変更における変化点の基本の基本に過ぎません。2019年12月は今までのポケモンカードにはなかった構築やプレイングが生まれる変革の月になるはずです。新しい変化や発見を楽しみながら、新レギュレーションに順応していきましょう。