
今回はどのデッキにももちろん入るパワーカード、「ACE SPEC」に着目し、その考察を行いました。

ACE SPEC(エーススペック)は、ポケモンカードゲームにおいてデッキに1枚しか採用できない特別なトレーナーズカードです。
その制限の厳しさから、1枚で試合の流れを大きく変えるカードとして位置づけられています。
通常のトレーナーズカードは複数枚入れて効果の安定性を高めることができますが、ACE SPECは“1枚のみ”という制限を課す代わりに、同系統のカードよりも強力な効果を持っている点が最大の特徴です。
これにより、プレイヤーは「デッキにどのACE SPECを入れるか」という大きな決断を迫られます。
さらに、ACE SPECはデッキそのものの動きにも強く影響します。

どのACE SPECを選ぶかでデッキの勝ち筋やゲームプランが変わるほど、役割の差が大きいのです。
また、ACE SPECは1枚しかないため、「いつ使うか」というタイミングの判断も勝敗を左右します。
総じて、ACE SPECは「強いカード」である以上に、“デッキの方向性”を決める特別枠として、現代のポケモンカードにおいて欠かせない存在となっています。
まずは、現在流行している4種類のACE SPECカードそれぞれに目を向けて見ましょう。
ACE SPECの中でもかなり汎用性のあるカードだと思います。グッズであるため、同じターンに別のサポートを使える点が大きな魅力となっています。
特に、アグレッシブに攻撃し続けて純粋なサイドレースを仕掛けていくタイプのデッキでは、その柔軟性と爆発力が評価され、採用されることが多いカードです。
相手のサイド枚数が5枚残っていても、一気に2枚まで減らすことができるため、状況を大きくひっくり返すポテンシャルを秘めています。
特に、捲って逆転を狙うデッキや、《スボミー》を敢えて倒させた後に展開するようなコンセプトのデッキとは相性が抜群です。 例えば、使用後にリーサルとなる《ボスの指令》を引きにいく、といった動きも可能で、攻めにも守りにも使える万能カードといえるでしょう。 《マキシマムベルト》は、発動条件こそ限定的で特定の対面でしか真価を発揮しませんが、その条件を満たした際には試合を一気に決められるほどの決定力を持つカードです。 「ここだけは絶対に勝ちたい」というマッチアップや、「苦手対面を克服したい」という明確な目的がある場合に、採用を真剣に検討したくなる1枚です。
環境に合わせて刺さる相手を明確に想定したうえで投入する、“ピンポイントで勝率を押し上げるACE SPEC”と言えます。
《シークレットボックス》は、実質的に「デッキ内のすべてのトレーナーズを+1枚したような状態」にできる柔軟性の高いカードです。 引けばあらゆるトレーナーズへと変化できるため、デッキの枠を節約しつつ、必要なカードへ確実にアクセスしやすくなります。
結果として、デッキ全体の安定感が向上し、サポートを途切れさせずにつなげていく“サポートリレー”を継続しやすくなる点も大きな魅力です。
安定性を追求するデッキにとって、信頼度の高いACE SPECと言えるでしょう。
では、現在の環境デッキにはどんなACE SPECが採用されているのでしょうか?
サイドを先に取り、逃げ切りを狙うデッキであるため、序盤から相手の主要ポケモンを倒しやすかったり、リーサル場面で使いやすかったりと、扱いやすいACE SPECです。
《サーフゴーex》同様にサイド先行の逃げ切り型である点に加え、《ヨルノズク》の“ほうせきさがし”で確定サーチしながら他のサポートと組み合わせられるのが非常に強力です。 「《プライムキャッチャー》+《オーリム博士の気迫》」
こうした強烈な組み合わせが自然に使えるのは、大きな強みでしょう。
それぞれ異なる強みがあり、どちらも完成度の高い構築です。
どちらのACE SPECにも共通するのは、「ファントムダイブ」を安定して打ちやすくしてくれる点。「デッキとしての大枠のコンセプト」は共通していると言えるでしょう。
ACE SPECを見るだけで、デッキの方向性がうっすらと見えてくるのは面白いですね。
《シークレットボックス》は、デッキ本来のパワーを純粋に底上げするカードです。特殊なギミックに頼らなくても自在に動ける《サーナイトex》とは非常に相性が良いうえに、「グッズ」「どうぐ」「サポート」「スタジアム」の触れるすべてのカードが強いのも大きな利点です。 ここまで、現在の環境でよく使われているACE SPECと、それぞれが採用されるデッキを見てきましたが、改めて感じるのは「ACE SPECは1枚でデッキの方向性を決定づける」ということです。
その1枚が、ゲームプランを変え、勝ち筋を変え、時には相手の想定を大きく超える一撃を生み出す。
デッキ構築において「どのACE SPECを選ぶか」という問いは、単に“最強の1枚”を選ぶ作業ではありません。
そういったプレイヤー自身の思想が最も色濃く反映される部分です。
それは、「デッキコンセプトを決め、そのコンセプトに沿ったACE SPECを採用する」ということです。ごく当たり前のことですが、意外と難しい部分もあります。60枚のカードを悩んでいるうちに、デッキの方向性がぶれてしまうことはよくあることです。
そんなときは、一度初心に帰り、「このデッキで自分は一体何をしたかったのか?」を見直してみましょう。
その答えに沿ってACE SPECを選ぶことで、自然と最適な1枚を選び抜くことができ、デッキの動きも安定します。