MTG部門プロ、高橋優太選手の「シティリーグ:シーズン1」優勝レポート


高橋さんCL優勝1006

カードラッシュ所属プロ、MTG(マジック・ザ・ギャザリング)部門の高橋優太(@Vendilion)です。
趣味でポケモンカードも嗜んでおり、過去にはこんな記事も書いていました。



PTCGL(※)を導入して以来、ポケモンカードを遊ぶ時間が増えて、色んなデッキが手軽に練習できるようになりました。
今回、シティリーグシーズン1を運良く優勝する事が出来たので、その思考過程を記していきます。

※海外のポケカ公式アプリPokémon Trading Card Game Liveの通称

↓詳しくはこちらの動画から!



シティリーグ前のメタゲーム予想

サーナイトex



1ターン目に《ラルトス》が複数並ばなかった場合でも、2ターン目に《キルリア》の「ミラージュステップ」で展開を立て直せるので、デッキの再現性が高く安定しています。

エネルギーが9個付いた《ザシアンV》や、《リバーサルエネルギー》のついた《サーナイト》で330ダメージを狙う事も可能で、HPの高いポケモンも一撃で倒せます。
《クレセリア》の「ムーンライトリバース」でベンチも狙撃可能。ちなみに「ムーンライトリバース」はダメージを与える効果ではないので、《マナフィ》の影響を受けなかったり、《ギフトエネルギー》の付いたポケモンを倒してもドローされなかったりと便利です。

330ダメージ出せる、ベンチ狙撃出来る、《月明かりの丘》での回復、《頂への雪道》を置かれても《キルリア》でデッキが回る、《ナンジャモ》での手札干渉と、何でもできるので使いこなせれば最強デッキ!

ただ、制限時間内に最適なプレイを最速で行う必要あり。環境最強デッキですが、環境で一番難しいデッキでもあります。

ロストギラティナ



《キュワワー》の「はなえらび」と、《ギラティナV》の「アビスシーク」により、序盤の安定性が高いです。
《ギラティナVSTAR》の「ロストインパクト」「スターレクイエム」により、ほとんどのポケモンを一撃で倒すことが出来ます。

順調にロストゾーンを貯められれば、2ターン目に《かがやくゲッコウガ》の「げっこうしゅりけん」や、3ターン目に《ヤミラミ》の「ロストマイン」でベンチのHPの低いポケモン複数を狙っていけます。

新弾の《ジラーチ》の「ロストマイン」への耐性が話題になっていましたが、《ジラーチ》は「げっこうしゅりけん」を防げないので、そこまで問題ではない印象を受けました。「ロストマイン」用に《ジラーチ》、「げっこうしゅりけん」用に《マナフィ》と置くとベンチが足りなくなるので、自分の主力のポケモンを置く事を考えると、《ジラーチ》《マナフィ》よりも優先度が落ちます。

ロストギラティナは安定していますが、1.2ターン目に《アクロマの実験》をプレイ出来ないと、プレイングではカバーできない程、どうしても展開が遅れてしまう欠点があります。

「HPの高いポケモンを一撃で倒せる」

「ベンチポケモンを狙える」

「ポケモンの特性でデッキが回るので、安定性が高い」



この3つの要素から《サーナイトex》、ロストギラティナがTier1で、使用者数、入賞者数ともに多いと予想しました。そのため、この2つに勝てる要素があるデッキが条件です。


その他に環境に居そうなデッキは以下の通り。


《リザードンex》はピジョット軸、ロスト軸などがあります。《リザードンex》《ミュウVMAX》にはとても有利ですが、《ヒトカゲ》のHPが低い事からベンチ狙撃されやすく、《リザードンex》に進化しても一撃で倒される事から、サーナイトex、ロストギラティナの両方に対して少し不利だと感じました。

《パオジアンex》は2ターン目に「げっこうしゅりけん」を達成しやすく、《インテレオンVMAX》は特性の「ダブルシューター」と《れんげきウーラオスVMAX》の「キョダイレンゲキ」でベンチポケモンを狙いやすい。

サーナイトex、ロストギラティナはどちらも序盤にHPの低いポケモンがベンチに並ぶので、ベンチ狙撃の得意な《パオジアンex》《インテレオンVMAX》はTier1に少し有利と感じる事がありましたが、《マナフィ》の存在が重かったり、《パオジアンex》《れんげきウーラオスVMAX》の両方が《ミュウVMAX》に倒されやすい要素があったりします。

《ルギアVSTAR》はロストギラティナには有利ですが、《サーナイトex》《サーナイト》(アルカナシャイン)がサイド1枚しか取れない関係でサイドレースを逆転されやすく、少し不利だと感じます。

《ミライドンex》に関しては知見が少ないので、あまり詳しくはわかりません。

使用デッキ:ミュウVMAX


【デッキコード】kFFFFf-0FMch1-kVV1kf



最速で最適なプレイをできれば《サーナイトex》が最強ですが、練習しても自分のレベルが足りないと感じたため、使い慣れている《ミュウVMAX》を使用しました。

《ダブルターボエネルギー》+《パワータブレット》からの「クロスフュージョン」「テクノバスター」でHP220以下のポケモンを倒す事に長けており、HP280のポケモンVSTARを倒すのも難しくない。HP220のポケモンが主体のデッキに対しては有利だと思います。《ゲノセクトV》の「フュージョンシステム」で、特性によりデッキを回して行けるので、序盤の安定性が高い事を特に評価しています。

ワザを使うために必要なカードが少なく、《ダブルターボエネルギー》《ミュウV》《ミュウVMAX》《ゲノセクトV》の4枚で動いて行けるので、デッキ内に相手への手札干渉や入れ替え札を多く入れられる事も魅力です。


《サーナイトex》、ロストギラティナの2つに対して、《オドリドリ》の特性「ねっけつレッスン」は良い働きをするので採用しました。

《サーナイトex》相手に、相手が先行2ターン目に《ふしぎなアメ》経由で《サーナイトex》に進化して「ミラクルフォース」した場合、ダメージが-20されて170ダメージなので《ミュウV》《ゲノセクトV》が生き残ります。2ターン目以外にも、《ボスの指令》経由で《ゲノセクトV》を倒される事を抑止できます。

ロストギラティナに対して、先行1ターン目に《ミュウV》をバトル場に出してターン終了したら、返しのターンに《ウッウ》の「おとぼけスピット」110ダメージが予想されます。
「おとぼけスピット」110ダメージ×2回と、《ヤミラミ》の「ロストマイン」120ダメージで《ミュウVMAX》を狙われるパターンがありますが、この場合に《オドリドリ》がいると「おとぼけスピット」が90ダメージになるので、「おとぼけスピット」90ダメージ×2回と「ロストマイン」120ダメージでも合計300で、《ミュウVMAX》を倒しきる事が出来ません。

《ミュウVMAX》の同系対決でも《オドリドリ》は意味があります。
《ダブルターボエネルギー》のついた《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」「テクノバスター」190ダメージと、《パワータブレット》《こだわりベルト》の合計4枚以上120ダメージ追加で、《ミュウVMAX》のHP310ちょうどですが、《オドリドリ》がいると《パワータブレット》を要求する枚数が増えます。


一般的な《ミュウVMAX》のデッキリストは《森の封印石》3枚が多いです。《ゲノセクトV》につけて手札を減らしながら「フュージョンシステム」で引きつつ、最終的に足りなかったパーツを《森の封印石》でサーチする事により、そのターン中の理想の動きを達成する確率が上がるからです。

しかし僕は《森の封印石》複数投入に疑問を感じていました。頻繁に発生したのが、初動で《森の封印石》から《バトルVIPパス》をサーチして展開したものの、その後相手に《頂への雪道》を置かれた後に引く《森の封印石》が何もしないパターンです。
この問題点を《タウンデパート》は解消できており、相手の《頂への雪道》を割るカードでありつつも《森の封印石》の枚数を1枚に抑える事が出来ます。実質《森の封印石》でありながら、スタジアムなので相手のスタジアムを対処できて、サーチにより役割が増えています。

最近は《災いの箱》の重要度が上がっており、《サーナイトex》が相手のときはアルカナシャイン《サーナイト》《ザシアンV》《ミュウVMAX》に330ダメージを与える動きを抑制する事ができます。
《サーナイト》《ザシアンV》どちらも330ダメージを出すには、《サーナイトex》の「サイコエンブレイス」からダメカンを多く乗せる必要があるので、《災いの箱》の80ダメージで倒せます。

《ミュウVMAX》というデッキはHP310までは一撃で倒せるのですが、HP320を超えると倒すハードルがかなり上がります。
HP330の《リザードンex》がまさにそうで、《フュージョンエネルギー》2枚が付いた《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」「テクノバスター」210+《パワータブレット》4枚で330ダメージか、《フュージョンエネルギー》3枚が付いた状態の《ゲノセクトV》の「テクノバスター」210+《パワータブレット》4枚で330ダメージか、《フュージョンエネルギー》4枚が付いた状態の《メロエッタ》「メロディアスエコー」280+《パワータブレット》2枚で340ダメージでないと倒せません。

《リザードンex》を倒すのにも《災いの箱》は役立ち、80ダメージ受けた状態であれば、《ダブルターボエネルギー》のついた《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」「テクノバスター」+《パワータブレット》2枚で250ダメージで倒せるようになります。

《こだわりベルト》は、《ギラティナV》《アルセウスV》といったHP220のポケモンを、《パワータブレット》を使わずに倒せるため便利です。ただ最近はサーナイトが強い事もあり、《こだわりベルト》1枚を抜いて《おはらいグローブ》を1枚入れるのもアリです。

このように《森の封印石》《災いの箱》は重要ではあるのですが、ゲーム中に1枚しか必要ないため、あまり枚数を多く入れたくないです。
そのため、ポケモンのどうぐをサーチできる《タウンデパート》が、デッキの目指す強い動きを再現しやすく安定性が上がると感じたので、2枚採用しました。



今回入れなかったカード達です。

《ともだちてちょう》は、4ターン目や5ターン目を想定したカードで、「フュージョンシステム」でしっかりデッキを引けていれば、終盤に《ボスの指令》《ナンジャモ》をデッキに戻すことが出来ます。

終盤は強いカードなのですが、序盤は不要で、手札に来た時に何もしないカードである場合が多いです。何度も採用したのですが、終盤の強さよりも序盤の弱さの方が気になり、このカードが他のカードだったらと思う瞬間が多かったため不採用にしました。

僕は他のゲーム出身なので、「序盤は何もしないけど終盤に強い」カードの評価に対して厳しいのかも知れません。ポケモンカードが強い人たちに、ぜひ《ともだちてちょう》に対する意見を聞きたいです。

《コオリッポ》は、「ブロックスライダー」でベンチの《キルリア》を狙えることから《サーナイトex》に対して強いです。ただロストギラティナに対しては、HP110なので《ウッウ》《ヤミラミ》の圏内で、あまり強くないです。
《リザードンex》《ヒトカゲ》1体の場合には間に合いますが、《ヒトカゲ》が2体並べられると効果が薄いです。環境デッキ全体を見た時、強い相手が《サーナイトex》に限られると感じたため、不採用にしました。

《チョボマキ》《アギルダー》は、《リザードンex》対策で、《フュージョンエネルギー》1枚が付いた状態の《アギルダー》の「ニンジャトルネード」120+《パワータブレット》2枚で180ダメージ。弱点計算で360ダメージ入ります。
ただ《リザードンex》以外に対しては本当に弱くて、《チョボマキ》なんて逃げエネルギーが3つもあるので、これからスタートすると入れ替え札が必須です。《チョボマキ》《アギルダー》を入れても結局《リザードンex》に勝てなかったので、それなら他に勝てるように《オドリドリ》に変えました。

《ミュウVMAX》というデッキは、今回の前提条件であるサーナイトex、ロストギラティナに対して勝てる要素がある事を満たしており、相性は以下の通りです。

サーナイトex→五分。

ロストギラティナ→少し有利。

リザードンex→とても不利。

パオジアンex→有利。

ルギアVSTAR→《いちげきエネルギー》型だと少し不利。

ミライドンex→有利。

インテレオンVMAX→有利。


各マッチアップごとに考える事

サーナイトex


1ターン目はサーナイト側は《ミュウ》(ふしぎなしっぽ)をバトル場に出すことが多い。後攻は《ミュウV》の「サイコジャンプ」でそれを倒していきます。

例えば相手が《サーナイトex》をバトル場に出して、ダメカンを4個乗せて「ミラクルフォース」を使ってきた場合、残りHPは270なので、《フュージョンエネルギー》2枚の付いた《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」「テクノバスター」210+《パワータブレット》2枚で倒すことが出来ます。

《サーナイトex》はHP310なので、一撃で倒すには《ダブルターボエネルギー》のついた《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」「テクノバスター」+《パワータブレット》4枚で310か、《フュージョンエネルギー》4枚が付いた状態の《メロエッタ》「メロディアスエコー」280+《パワータブレット》1枚で310が必要。

《ボスの指令》は、なるべく《キルリア》(リファイン)か、《サーナイト》(アルカナシャイン)のために使う。
サーナイト側は強い手札を貯めやすいデッキなので、《頂への雪道》は適当に置くのではなく、《ジャッジマン》とセットで使いたいです。

ギラティナVSTAR



相手の《ギラティナVSTAR》が「スターレクイエム」を使えるようになるのは3ターン目以降が多いため《ミュウVMAX》を一撃で倒しにくく、ミュウ側は《ギラティナV》《ギラティナVSTAR》を一撃で倒しやすいため、少し有利なマッチ。
最近は《ミカルゲ》《ドラピオンV》が入ったリストが少ない事も大きいです。

1ターン目はギラティナ側は《キュワワー》をバトル場に出すことが多い。後攻は《ミュウV》の「サイコジャンプ」でそれを倒していきます。
《ジャッジマン》の使い所が大事で、相手の《アクロマの実験》や、《ギラティナV》の「アビスシーク」をされた返しに《ジャッジマン》を撃ちたい。《ギラティナV》の「アビスシーク」されたら、《ジャッジマン》しながら《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」「テクノバスター」+《こだわりベルト》220で倒すのが理想です。

ミュウ側の《頂への雪道》がほとんど意味がないので、《ハイパーボール》で捨てられるならすぐ捨てた方が良いです。逆に相手の《頂への雪道》には絶対に対処する必要があるので、適当に《タウンデパート》を出さないように。

リザードンex


《ヒトカゲ》から《ふしぎなアメ》で進化するだけで、HP330、弱点で一撃で《ミュウVMAX》を倒す《リザードンex》が爆誕!不利すぎる!

《頂への雪道》《リザードンex》の特性を防ぐことは出来るものの、それでも《ヒトカゲ》《基本炎エネルギー》を1枚手張りされるだけで恐怖。《ふしぎなアメ》《リザードンex》からもう1枚《基本炎エネルギー》を手張りされれば、雪道関係なく普通に《ミュウVMAX》が倒されます。
《災いの箱》経由でHP250に減らして、なんとか一撃で倒したいです。

ルギアVSTAR


全マッチの中で、最も先行が重要なのが対ルギアです。
先攻なら進化前の《ルギアV》《ボスの指令》で倒して行くのが実現しやすいですが、逆に相手が先行だと《ボスの指令》でサイドレースを進められやすいです。

相手が《Vガードエネルギー》を付けると、こちらの《パワータブレット》の要求枚数が増えます。
先攻後攻どちらの場合も《メロエッタ》でサイドを取るのが必須で、《メロエッタ》《Vガードエネルギー》に関係なくダメージを与えられて、相手にサイドを1枚しか取られないのが重要です。

《いちげきエネルギー》型で、《イベルタル》(いちげきのつばさ)まで入っていると不利です。

ミュウVMAX


対ミュウでのゲームの焦点は、いかに相手に1ターン無駄なターンを作らせるかです。

《ミュウVMAX》2体を進化させて、相手の《ミュウVMAX》からの「クロスフュージョン」「テクノバスター」を1回耐えたり、《頂への雪道》からの手札干渉で何も出来ないターンを作る事です。《ジャッジマン》《ナンジャモ》で手札干渉のし合いになるので、不要な手札はどんどんトラッシュに置いて強い山札を作る必要があります。

HP310の《ミュウVMAX》を倒すには《パワータブレット》3枚《こだわりベルト》1枚での合計120ダメージ追加が必要なので、《パワータブレット》は安易に捨てないようにしましょう。
《あなぬけのヒモ》は、終盤に強いタイミングで使える事が多いです。


大会結果



準々決勝で不利なリザードンに当たりましたが、相手が後攻1ターン目にサポート無し、ベンチに《ヒトカゲ》0体という不運だったおかげで勝利。

この大会では《ミカルゲ》《ドラピオンV》を1回も出されず、不利なリザードンには相手の事故で勝ちと、かなり運が良かったです。


おわりに



同日程で別の地域のシティリーグ結果を見ていてもミュウの勝率が高く、使うのに良いタイミングだったと言えます。
今後は《ミカルゲ》《ドラピオンV》が増えて行くかも知れません。《ミカルゲ》が増えた場合を想定すると、《フュージョンエネルギー》《ゲノセクトV》に付けて「フュージョンシステム」が使えるので、「フュージョンシステム」型が良さそうです。


とは言え《フュージョンエネルギー》《ゲノセクトV》に付けるのは、本来やりたい動きでは無いので、《ミカルゲ》増えてほしくない!
《ドラピオンV》《ミュウVMAX》を倒すのに良いものの、《頂への雪道》で特性が止まってしまったり、返しのターンに倒されてサイド2枚取られる事があります。ミュウ対策したいなら、《ミカルゲ》の方が効果的だと思います。


拡張パック「フュージョンアーツ」発売以降、《ミカルゲ》《ドラピオンV》のような対策カードが作られたにも関わらず、依然として環境に居続けるミュウは本当に強いデッキだと思います。Eレギュレーションが落ちる前に結果を残せて良かった!
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それではまた。

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